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楽屋裏 | |
「建築家」というといかにもカッコよいと思うかもしれない。 聞くと見るでは大違い。建築家の華やいだ表ての裏にはやはり、雑多の面倒や苦しみがある。 間違えたり、やり直したり。切り、刻み、丸めて捨てる。しめきり前には修羅場だ。そのドタバタの結果、一応の試作品としてお客様の前に見せることになる。 簡単なことだと言わんばかりのすまし顔で、ねぎらいのお言葉も(もしあったら)受け流すわけだ。 だから、華舞台ばかり見て、ああ建築家になりたい、などと思わない方がよい。 こうした見えない努力に対価を認めてくれるお客様は我国では少ない。 必然に、決して羽振りのいい生活は期待できないし、だいいち、例えば建築材料を探し廻ったりのばかばかしい仕事や、現場で泥まみれになる気がなければ、とても責任の果たせない仕事だ。 |
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