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月はわずかに遠ざかったり近づいたりする
――さらにわれわれは太陽を中心として惑星たちは回っていると思いがちですが、実際は太陽と惑星すべての総和としての重心の周りを惑星たちは回っています。従って、太陽もまた、厳密には同じその全重心の周りに、惑星運動と同じく、微小な半径をもって回っているはずです。
つぎに、連星に働いている相互間の遠心力はその連星の“重心”へ働いているとみてよいかどうかを調べてみましょう。
C図
D図
それぞれ質量Mとmをもつ2つの天体のペア(連星)が互いに回転しているとします。回転の中心からMがもつ距離をr1、mがもつ距離をr2とし、中心に対する角速度は共通ですからωとします。すると各遠心力は
Mα1=Mr1・ω2
mα2=mr2・ω2
この両者は釣合っていて等しく
Mr1・ω2=mr2・ω2
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従って
Mr1 =mr2
これはモーメント釣合い方程式と一致しており、連星の遠心力の中心はそれらの重心であることがわかりました。
――万有引力のほうはどうでしょうか、先ほど來、1つの月を黒丸と白丸の2つからなるとモデル化しました。こんどはその黒白それぞれに対し引力が働いているのではないかと考えてみます。黒丸白丸の重心から地球までの距離はRであるとしておきましょう。
このとき、Mとmの各質量に働く地球からの引力の和は、それらの重心に質量和が存在するとした場合に働く引力と、必ず等しいのでしょうか?
C図の場合を見ますと、まず、それぞれに働く引力は
F=MK/(R+r1)2+mK/(R-r1)2
……………⑫
つぎに、重心に働くとした場合には
P=(M+m)K/R2 ……………⑬
ということになります。これらは等しいでしょうか? ここに、KはK=GMeで、万有引力常数Gと地球の質量Meとの積。
ところが、この⑬式の結果が⑫式に等しいかどうかは、数式計算からは存外複雑になることがわかりまして、⑬式と⑫式との差をとってそれがゼロになるかを試みましたがこれも複雑。比をとってみて1になるかも、難解とあって、ついに放棄してしまいました。
で、簡便なやり方でありますが、具体的数値を放り込んで確かめることにします。まず、R=100,M=2,m=1,r1=1,r2=2としてみますと⑫式からは
F/K=(電卓で)=0.0003001824…
と得られ、⑬式からは同じく
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