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不定期便 第29号 |
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不定期便 第29号 010年12月8日
存在論
――010.10.25
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発行
2010年12月8日
発行者
熊野宗治 |
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実験装置づくりのほうですが、寒いのでその気になれず、板を二度切ったきりになっています。
あなたへ
「存在」について考え、思うところを書きなぐってみます。書きなぐる、と申しましても、ほとんどは必ずしも私見ではなく、むしろ「普遍を述べたまで」ということになるでしょうか。物質の存在が誕生してから、その組合せの混み具合である「組成」の“進化”があった、と考えます。これを横軸に。
一方、それらの発達した組成たちのあいだで、それぞれはどのような性質を持ち、他の組成とはどのような影響をし合うか、という「互いの作用」が、やはり進化すると考え、これを縦軸に置いてみます。
申し上げるまでもなく、これらのことは私の想像ごとではなく、実際に存在する普遍的事実です。なにも私の思いつきや発明ではありませんし、したがって、この縦・横の事実の存在は、私の私見ではありえないわけです。これらの事実から、あらゆる科学的現象が生じ、すべての存在はそれら相互の組合せによって生じている、ということが普遍的に把握できると言ってよいでしょう。さまざまな学問がそこに発生します。
まだ明確にされないことで、予想というものをわたしたちは企てます。その中でいくらか、私自身も私見を試みているわけです。あらゆる学者が、まず、そのような自説を立ててみて、
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それをあらゆる現象に照らしてみて、それが正しそうかどうかを自ら検証してみるわけでありましょう。
この表を見ながら、私もいろいろと想像をめぐらすことができると思います。
私は物語『ふだんの物理学』の第11話の書き出しのところで、対話の成り行きから、男女の違いということを口にしてしまった行きがかり上、その始末をつけておかねばと考え、そのために、脳の構造についてひととおり学ぶことにしました。さりげないこのたった数行のために、私にとってまったく門外である、医学的な知見を得たいと思ったわけです。物語だからいくら奔放でいい、と言ったって、あんまり出まかせに書きなぐるのは気が咎めます。
しかし不純な契機とはいえ、入門ていどの医学でも、とりわけ脳については、現在、こんなところまで解ってきているものかと感嘆するばかりです。
小惑星「イトカワ」の微粒子が、地球の物質と非常に成分比率の違うものが見つかったと、TVニュースで聞きました。これが事実だとしますと、太陽系の成立に大きな謎ができます。太陽惑星の中で小惑星群だけが他の惑星たちとは違った、別な宇宙のルートをただよってきて捕まったものであるのか?という疑いです。ありえないことではないとは思いますが、きわめて謎に満ちたことになります。まず、どの惑星も太陽から生れたと考えることは困難だからです。しかるに、以前にも申しましたように、太陽と惑星は同時期に生れたとしか考えられないのが私の見方だからです。
こんどは金星へ向かうようですね。新しい事実に興味津々です。 |
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不定期便 第29号 |
“存在”の進化のマトリックス
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存在の進化
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場 幻子 素粒子 原子 分子
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有機分子 有機化合物 細胞 生命体 社会 宇宙
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幻子の形成
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幻子
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素粒子
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原子
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分子
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ウィルス 粘菌・細菌
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細胞核の成立
動植物の進化
神経反応と光適性
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脳の形成と発達
臓器・機関との連合
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学問・文化 文明
の指向
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自然界の自己認識の成立
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神
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不定期便 第29号 |
“存在”の進化 (試論)
存在について筆者は次のように考えてみる。組成レベル(横軸)と、それらの相互作用レベル(たて軸)とからなる事象の出現について以下のように考慮してみてはどうか。
横軸(組成軸)について、これは構成単位の最小から順に
場―幻子―素粒子―原子―分子―有機分子―有機化合物―細胞―生命体―社会(地球単位)―宇宙構成
たて軸(作用軸)について、これは相互作用の進化
場の性質の分離―→場の凝集―→それらの相互作用と状態形成―→状態形成の結合―→それらの相互作用による状態形成の進化―→環境・条件への適合進化(安定性獲得)―→目的指向の発生―→物質に指向特性すなわち本能が生成(安定性・欠如部の補足作用・自己複製力)―→識別力、認識力の発生・物質との相互作用(反応)―→欲の発生・現象への好奇心と分析反応―→自我の認識―→自然の全性質の結合(神)
というように相互作用は進化した。
これらを総合してみるに、宇宙の根源は性質の分離・存在化と、それらの相互作用による。
発生してから、原始的な組成は進化しては崩壊し。再び破壊屑から進化しなおし再構成することを繰り返しながら、崩壊しにくい組織へ進化してゆく。
相互作用(例えば脳内のニューロンに起こる現象で、その結果の反応など)は構成の進化に伴って、より高度な反応と相互作用を生成してゆく。
進化は多様性を生み出し、自然法則にしたがって次第に高等な組成と作用反応を獲得してゆく。その成果の一つの例は“脳”である。
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自然界は自己を認識することができるようになり、意識をもち、意図を有するようになるであろう。
その究極のところに、神に最も近い構成と意図が完成するのであろう。無なる“場”から発生し進化した極致に、神としての“意向”が生れ、それは祖先である“場”を敬い、“場”を大切に育てるであろう。 一つの生成例―人類―は、まだ大きな目的を知らず、現在、単なる脳細胞としての働きをしているにすぎない。明確な目的を持っていない。導かれるままに生き、欲に流され、神に従っている。
以上のことからさらに思索を続けようと思う。
人間はなぜ学問をするのか
人はなぜ学ぶのか、つまりそれは宇宙の持つ本能であろう。その組成の細胞レベルが脳・神経であるとすれば、生命組成レベルで動物(脳と臓器機関との連合)を形成し、環境に対し能動的に働きかけ、それらが群れとなって社会を形成している。それが実際の環境にあって人類の現状があり、それが地球の現状である。
もし存在の進化のマトリックスが先に述べた表のようであるなら、人類が存続する上では、もっと慈愛と高い精神性を持ち、もっといろいろなことに配慮が行き届くようになるであろう。それが人類のとるべき進化の道である。しかるに、もしも極悪非道な知恵がはたらき、専ら自己のためにのみ弱いものや年寄りを騙して、その生命の存在を脅かすような人物が現れるようになるなら、神は人類をいったん壊死させ、作り直しをするであろう。
人類はそのことを予見し反省し、学び実践しなければならない。そのために人間は学問をするのである。
もしもこれらの収斂が神のコントロールによるものなら以下のようであろう。 |
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不定期便 第29号 |
脳がさらに発達してその神経反応の多様性と組成の厚みを持つようになれば、自他の写像性――人の心理で喩えれば“思いやり”――が顕著になる。そして自身は公正を希求するようになる。一見公平に見える現代社会で、しばしばその自由主義がもたらす富や権力の集中がつくり出した社会格差、とは異なり、“収斂”は太陽のように他に恵みをもたらすものになるであろう。欲望の対象が変化してくる。すなわち価値観の進化である。他から搾取する結果ではなく、与えられて成長するものとなる。決して一方的な権力が行使される結果ではない。こうして全宇宙に与えられてきたことの成果の例に、われわれ自身が満天の宇宙に見る恒星(活動している重量天体)や天体たちがある。これを動かし、司るのは神の意志である。すべては物理の本性に根づいている。
(010.10.25)
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