B   印刷用は省略       不定期便  第56号
 
不定期便
 56 01275

 光より速いニュートリノ 
その ヒッグス粒子みつかる――12.7.4

 発行
012年7月5日
発行者
熊野宗治
  

 ウソ増殖する?




 
 NHKニュースによると、CERNはきょう、ヒッグス粒子の存在を明らかにする重大な発表をする。
 NHKニュース――ヒッグス粒子見つかる!

 諸君! 宇宙膨張は起こっていないことを前号で報じた。今回は「ウソは増殖する」というタイトルで、一言申し上げざるを得なくなった。ビッグバンのためには「赤方偏移はドプラー効果で生じる」という仮説がなければならない。
 宇宙膨張はいかにも面白いので、すぐ枝葉が茂った。

 NHKのニュースで説明されたところによると、ビッグバン当初、粒子たちは激しく動き回っていて、ある時期ヒッグス粒子が霧のように現れ、粒子たちはヒッグス粒子の霧から質量を与えられ、ゆっくり動くようになった。質量を持った粒子たちは互いに結びつき始め、原子となって分子となった。現在の地球や宇宙をつくった。

 そんなヒッグス粒子の存在を示す、重要な発表がきょう7月4日にある。というのがNHKの朝のニュースであった。ブラーボ! ブラーボ! いかにもNHKが好みそうで、各種報道メディアが飛びつきそうな、じつに奔放なおとぎ話! 見事に理の通っていない、自由に満ちた理学である。

    世界中の学者がこぞって祝っているところへ、なぜわたし一人が、これをおとぎ話と嗤うかは、次のようだ。
 ヒッグス粒子はビッグバンの開始から100億分の1秒後に現れたという。まずもって、高温高密度であったというビッグバンの種はいかにしてできたのか?
 ヒッグス粒子が粒子に質量を与え、物質が誕生したという。そのヒッグス粒子はどこからいかにして存在(出現)したのか?
 質量保存の法則はウソだったの?
 質量とは、粒子たちに(ヒッグス粒子から)与えられたものなのね!? その質量は必ず重力場を持つが、してみると、ヒッグス粒子は器用なことに、粒子たち相応の重力場もそのとき与えたのかしら? 粒子たちに遍く、質量を与え給うたヒッグス粒子こそ、天地創造の神様?

 ヒッグス粒子の存在は50年前に予言されたそうな。物理のセンスはないのに物理学者になれた人たちが、物語の初めをつくるために想像した作り事である。なぜなら“物理”が通っていない。
 質量が重要なのは物の質量のために物の運動速さが変化しにくい、つまり、慣性を持つこと(新聞による説明はおかしい。あれは粘性というもので、粘性には物質を集中させる性質はない)だけではない。質量は万有引力の元である重力場をつくっていて互いのあいだに引力をつくる。こちらのほうが、断然重要なことだ。
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 ヒッグス粒子以前の粒子たちに質量がゼロだったとすれば、それまでの全粒子の運動エネルギー(つまり熱エネルギー)は、ゼロだったことになる。高温高密度は、ヒッグス粒子の出現以後に、起こらなくてはならない。想像してみても、全然筋が通らない。



なぜ(私は)発表しなければならないのか

 ビッグバンという出鱈目と、相対論のウソから、最新鋭の物理学(モンスター)は起き上がり、猛烈に走り始めた。世界が総がかりでCERNにつくった大掛かりの施設は税金の無駄遣いでないことをアピールするために、民衆をおどろかす何かを発表しなければならない。ヒッグス粒子という得体の知れないものは、それにもってこいだった!
 すでに、ノーベル賞に値すると口走る者さえいる。こうしてメディアによる圧力から、ノーベル賞委員会は、このウソに、またまたノーベル賞を贈ることになるのかもしれない。

 人類時間の最先端である現代は人類史上最も幼稚な時代だ。
 言い出した人の面子を守ろうとするのは、人としては美しい行為である。しかし、こうして大勢で造り上げる美しき民主主義的科学理論は、ろくなものを産み出さない。














 

資料

標準理論

  ヒッグス粒子は現代物理学の土台である標準理論の完成に必要な最後のパーツ。微小な素粒子から広大な宇宙の成り立ちまで統一的に説明するのが標準理論。


標準理論;
  ヒッグス粒子が宇宙に姿を現したのは137億年前。宇宙ビッグバン(宇宙誕生の大爆発)からわずか100億分の1秒後のこと、突然、真空の宇宙空間にヒッグス粒子で満たされた海が発生。
 光速で飛んでいた素粒子に作用し、進みにくくすることで質量を与えた。まず素粒子の動きにブレーキがかかることで互いに集まり、3分後に原子核が誕生。
 もしもヒッグス粒子が見つからず、標準理論が違っていた場合には、物質が質量を持った別の仕組みを考えなければならず、現代物理学の根幹を揺るがす恐れもあった。 

(以上読売新聞201275日朝刊)

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