C                  不定期便  第79 
                             
不定期便 79号   013817  

     大学での相対論 2    時間の流れを見なおす?
 

 放送大学講義の受講を続けたいと思います。前回までに

 13章 電磁波とアインシュタイン
 13.1 光速はなぜ定数
 13.2 アインシュタインはどう考えたか
を見てきました。  
 
 
今回は

 13.3 光速不変性により時間の流れを見直す  時間あわせ

  から続きます
放送大学講義  初歩からの物理学 から        米谷民明教授
 講義内容  わたしの疑問

各時刻の瞬間ごとに同じ地点にある時計の目盛を比較できる。Kの時計とK´の時計の目盛は、厳密には一致しない。
 ´はKに対しυで動いている。中点oから出た光がA´、B´に着いた時間は異なる。右側は遠ざかり、左側は近づくからである1

図2

´に静止している物指をA´´とする。
(図は筆者が作図した)

1 実はこれから先の説明では座標間で時刻が合わないという矛盾が生じるから、先回りして、座標によって時刻は違うものだと概念化をするものだ。学習者に前もって植え込むためのようで、巧みな心理操作である。

この記述は、光はK´での物指の中点から出た光であるが、Kに対して光の零点をもつとしているものだ。

 

左図は説明されたとおりに、K座標とK´座標とを作図してみたもの。

円はt=0でoから発した光の輪を示す。

K座標の下のA´´はA´に光が到着したときの位置、物指の中点oは物指が動いたぶん移動している。

その下は更に動いて光がB´に到着したときの図

   
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  講義内容  わたしの疑問
 Kの時計で読めば、
   >t    (13.1
 ´(の光の場で)は物指は静止していて(k´座標でA´,´は定点)光速不変性により、中間点から同距離を同速で伝播しているので凾´=L/2cと、同時刻になるはず。それゆえ
   ´B =t´  (13.2
が成り立つ。
 13.1)と(13.2)はどちらも正しいから、tとt´という時間の流れは異なることになる。
 常識論ではK´系では光の相対速度c+υ 、c−υなので´>t´であって13.1)に矛盾はない。ニュートンは時間の流れは慣性系に共通(絶対時間)と考えた。しかしこれは正しくないことがアインシュタインの考察によって明らかになる。  .234



ミンコフスキーのダイアグラム
 物指が初めt0にあったのが、次の瞬間ではt=1の位置、さらにt=2,…というように並べると、キネマのようになる。
  
13.2

  4

上図はK座標で静止した物指の軌跡で、物指の中点からA,Bへ向かって出た光は、瞬間ごとに図のようになる。


 この部分の説明は、常識論。13.1も。
この説明によれば、光の場はに静止している。    ………………… 

この説明によれば、光の場は´に静止している。   ………………… 



 これらはイとロの違いがあり、イが正しいならロは間違いで、ロが正しいならイは間違いである。どちらも正しいことはありえないのでは? (6)




※ ニュートンの時間の流れは正当であるのに、光速に関する間違いであろう解釈に立って、ニュートン時間は正しくないという結論になることを言っている。

(以下で そのことが説明されている)


左の図4は、物指ABの中心Cから光が出るとき、時間の経過につれ、光が先端A、Bに達するまでの様子を一枚の紙の上に描いてある。






   
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  講義内容  わたしの疑問

13.3

 縦軸を時間にして、時間に光速cをかけたctで目盛をとってある。これをミンコフスキーのダイアグラムと呼ぶ。網掛け部分がKで静止した物指の軌跡。t0で物指の中点Cから発した光線の軌跡は、Cから45方向の直線。時間の目盛がctなので、χ座標での光の進みと同じだからである。

 図13.4


 Kに対してK´がυの速さでχ方向へ運動しているとき、K´に静止した物指の両端A、Bに、中点Cから出た光が到達したときの時刻tA 、tが異なるのは一目瞭然。
 図はχ´軸がK´系の同時刻に対応する。

 図5

線分abの中間点Cの軌跡は軌跡を2等分する。(図5は考察のために、いくつかの文字など筆者が書き入れたもの)


左図、Cから出る光のようなものは光ではなく、図4の時刻ごとの光の到達先端を追ってみたもの。これをここでは“光の軌跡”と呼んでいる。 (7)



 ※3 この説明で「縦軸」を「時間」にすると言っているが、これに光速(距離/時間)を乗じたものは時間ではなく「距離」では?
*光線の軌跡は光の進んだ道筋ではなく、各時刻に光が進んだ距離を包絡線としてつないだだけもの。光線と錯覚しそうである。 (8)


 左図は´座標がKに対してυの速さで運動しており、t秒間にはK´がυtだけ移動するため、K´の時間軸ct´はυ/cで傾斜している。


(実際論)図4

 
上図、実線ABが動いてゆく物指 黒線は光が進んだ状況。点線はA端を過ぎた光。
もし、物指が線分A´´なら時間を跨いでおり実体がない。初めの約束とも違う。(9)

 また、もしどの時点でも物指の中心が光源なら、Cから45゜で引いた補助線の意味がなくなる。
 これはまったく図形の話。光が物指上をど

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  講義内容  わたしの疑問
 Cを発した光線が両端と交わるのがA´,B´、中間線と交わる点がC´
 ここでc´ 軸のct軸に対する傾きと、χ´ 軸のχ軸に対する傾きが等しいことを見ておこう。
 時間軸上のcは光が1秒間に進む距離でc×1である。この間にK´座標はυ×1の距離動いているから、c´の傾きはcに対するυの比である。そのなす角度をαとし、以降の説明のためにχ軸に対するχ´軸のなす角γとすれば、これらは同じになる。

 以下では筆者なりに証明する

証明) ∠A´CB´は、頂点Cで45゜の合わさったもので直角。すると三角形A´CB´直角三角形で、円A´CB´に内接する。線分´´はその直径であり´がその中点なら円の中心であり、´CB´は半径同士等しくする二等辺三角形である。従って底角´CB´∠C´´は等しく、これをδ(○ で表わした)とする。
 また、∠C´CB´∠CB´bは錯角で等しい。´ct〜c´の傾斜角αと等しい(対頂角の同位角)。
 さて、O´O´Bと錯角で等しい。それゆえ、図から
  α+β=2δ+α  ∴β=2δ
 また、χ´の傾斜角をγとしておけば  α+β+γ=90
 直角三角形B´CB∠CB´45゚=δ+α  ∴δ=45-α
 するとγは
  γ=90-(α+2δ)
   =90-(α+90-2α) =α

                つづく







のように進むかという具体像は度外視してある。

 ※4 読んでいるとA´´が物指であるかのように錯覚してくる。縦軸は空間ではなく時間のはずなのに、光はまるでCからA´へ空間を進むように見ている。
 物指の中点を発した光が´で交わると述べられているが、´は時間が違うだけで同じ物指の中点である。中点から出た光が中点で交わると述べている。 (10)

 わたしには、この論理はどこもここもちぐはぐである、という概念しか残らない。
  図のαとγが等しいことを示されており、その証明も示されているが、左は私なりにそれを証明してみた。
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