C 不定期便 第82号 |
不定期便 第82号 013年10月10日
大学での相対論 5 E=mc2の起源
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放送大学講義の受講を続けます。
13章 電磁波とアインシュタイン
13.3 光速不変性により時間の流れを見直す時間あわせ,ミンコフスキーのダイアグラム
固有時間と運動による時間の遅れ
を見てきました。 |
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今回は
13.4 E=mc2の起源からです。
ややこしい相対論は次で終わります。もうちょっとのご辛抱を…。 |
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放送大学講義 初歩からの物理学 から 米谷民明教授 |
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講義内容 |
わたしの疑問 |
13.4 E=mc2の起源 P.242
速度を変化させるには物体に力を加えることが必要だ。ニュートン力学*1では力を加えると速度は時間に比例して変化する。しかし、本当は光速を超えられないから、これは正しくない*2。K系で2粒子のχ方向運動量P1=m1u1、P2=m2u2とするとK´系での速度はu´1=u1−υ、u´2=u2−υで、運動量の和はP´1=P1−m1υ、P´2=P2−m2υとなる。運動量の和はP´1+P´2=P1+P2−(m1+m2)υである。(m1+m2)υは定数だから、もし運動量がKで保存するならK´で保存されるわけである。速度合成が13.8だとすると、そうはならない。速度合成が単純な和の規則を満たさなければ、K´で2個の物体の運動量の和をとったものはKの対応する保存則を成立させることはできない。光速不変の原理と運動量保存則を調和させるためには、運動量の定義を変更する必要がある*3。問題は、速度が位置変化と時間経過の比(変化率)であることにある。位置変化は、どの慣性系でも位置の差として表わせるが、
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*ニュートン力学は力学ではなく「自然法則」だ。
*2正しくないとすれば「自然法則」ではなかったということになるが…。
P1はK系から見る運動量 (図は筆者による)
P´1はK´系から見る運動量
P1=m1u1
P2=m2u2
P´1=m1u´1=m1(u1−υ)
P´2=m1u´2=m2(u2−υ)
K´での運動量の和=P´1+P´2
=m1(u1−υ)+m2(u2−υ)
=m1u1+m2u2−(m1+m2)υ
m1に注目して、もし速度合成(13.8)のためにu1−υ≠u´1あるいはu´1+υ≠u1とすると、
運動量保存則が成立たない。
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講義内容 |
わたしの疑問 |
時間が慣性系ごとに異なるため、速度の合成則が変更をうけたわけである。
これらに反して、ニュートン力学では、時間がすべての慣性系に共通であるため、時間変化との比をとっても、位置変化の差の性質が任意の慣性系で同じ仕方で保たれる*4。すると、運動量の保存則が成り立つためには、慣性系の選び方によらない時間経過を定義できればよい*5ことになる。
そこで思い出されたいのは、固有時間(τ)の考え方だ。固有時間の経過は物体ごとに定まっていて、慣性系の選び方とは無関係だった。それゆえ、位置の変化と固有時間経過の比に質量をかけたものとして運動量を定義すれば、どの慣性系でも同じ仕方で運動量が定まり、保存則を成り立たせることが可能になる。 つまり、特殊相対論におけるχ方向の運動量Pは次式であるべきだ。
P=m(刄ヤ/刄ム) *6
=mυ/√[1−(υ/c)2] ……13.9 ここで刄ヤは微小固有時間間隔刄ムにおけるχ座標の変化で、τ=t√[1−(υ/c)2]と刄ヤ/凾煤υを用いた。
この結果はニュートン力学の運動量で言えば、あたかも物体の質量mがm/√[1−(υ/c)2]のように速度に依存して変化すると解釈できる*7。その意味で定数のmを静止質量と呼ぶ。 P.243
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さて、自分が決めたルールに具合の悪いことが起こると、自らのルールを見直すことなく、世間のルールを変更しようとする。それをわたしは「ガキ大将の論理」と呼ばせてもらっている。宇宙膨張説も同様に感じる。
*3 言い訳論に入って、運動量の定義の変更を申し出ている。
*4 整然としているニュートン力学は明確である。
*5 言い訳論のための前提
物体ごとの固有時間(τ)、運動量を
(位置変化/時間経過)×質量
と定義した。位置変化は何に対する(疑23)?
*6 なぜこれでよいのか? K´系でのPなら
刄ヤは刄ヤ´ではないのか(疑24)? (13.4)式凾´=凾煤[1−(υ/c)2])に基づいて
刄ム=凾煤[1−(υ/c)2]
としている。するとたしかに(13.9)式を得るが、
刄ヤがK´系での変位量でないなら、誤りということにならないか?
刄ヤ´は13.7式(P.14)から
χ´=(χ−υt)/√[1−(υ/c)2]
となっているが、そうだとすれば複雑を極める。それとも刄ヤ´についてはP.13(ハ)式に
l=L√[1−α]を得ており、だとすると L=l/√[1−α]
すると、刄ヤ´=刄ヤ/√[1−α]
ということになる。すると
刄ヤ´/刄ム
=(刄ヤ/√[1−α])/凾煤[1−α]
=(刄ヤ/凾)/[1−α]であろう。(イ) 13.9式はP=mυ´とすべきであり、
P=mυ/(1−α) ………(ロ)とするのが相対論としての筋ではないのか?
*7 支離滅裂ではないか?
1/√[1−(υ/c)2]をυ側につければ、質量が増すのではなく速さが増す、とも解釈できそうだが…?(疑25)
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わたしの疑問 |
01例題 1 P.243
K座標で静止質量M/2の2個の物体が´反対方向から速度υ、−υで衝突し合体して静止した。K系の運動量は保存している。衝突前に物体の一方が静止して見えるK´系でも運動量が保存するとして、合体した物体の静止質量は?
解 Kから見たK´系の速度はυだから、K´での合体後の運動量は(13.9から?)
M0υ/√[1−(υ/c)2] ………(ハ)(私の計算なら(ロ)からM0υ/(1−α)) K´系で衝突前の静止していないほうの物体の速度は、速度の合成則により、
υ2=(υ+υ) /[1+(υ/c)2]
=2υ/[1+(υ/c)2]
で、運動量は
P=(M/2)υ2/√[1−(υ2/c)2] ………(ニ) =Mυ/(1−(υ/c)2) *8
よって
M0υ/√[1−(υ/c)2]
=Mυ/[1−(υ/c)2]
しかるに、
M0=M/√[1−(υ/c)2] ……(ホ)
(私の計算では これはM/(1−α) それゆえM0=M)
(13.5)、(13.7)から分かるように、慣性系が変わると時間と位置座標は混じり合う*(物理的にはどのようなことになるのか?)。Kにおいて位置と時間が微小量刄ヤ、凾狽セけ変化したとすると、それはK´でみると刄ヤ´=(刄ヤ−υ凾煤j/√[1−(υ/c)2]だけ変化したことになる。すると(13.9)で定義される運動量が保存しているとすると、同時に
Δt/Δτ=m/√[1−(υ/c)2] *(ヘ)も、物体について和をとったものが保存していなければつじつまが合わない。 (*この式はどこからもってきたものか、誤植でなければ、誤っている。なぜなら次元が合っていない。左辺は時間を時間で除したもので無次元。右辺は質量(元はグラム)を無次元の数で除したものだから次元はグラムである。)
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(図は筆者による)
(※8確認)
P=(M/2)υ2/√[1−(υ2/c)2]
υ2=2υ/[1+(υ/c)2]を上式に入れる。P右辺の分子は
分子=(M/2)
2υ/[1+(υ/c)2]
=Mυ/[1+α]
(υ/c)2=αと置いた
分母については
分母の√内は=1−(υ2/c)2
=1−[(2υ/(1+α)/c]2
=1−4(υ/c)2/(1+α)2
=1−4α/(1+α)2
=((1+α)2−4α)/(1+α)2
=((1+2α+α2−4α)/(1+α)2
=(1−α)2/(1+α)2
したがって分母は
分母=√[(1−α)2/(1+α)2]
=(1−α) /(1+α)
したがって
P=分子/分母
={Mυ/[1+α]}
/{(1−α) /(1+α)}
=Mυ/(1−α)
=Mυ/(1−(υ/c)2) ……(ニ)
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次元をエネルギーに合わせるために、慣性系の選び方とは無関係な定数c2をかけたmc2/√[1−(υ/c)2]を考える。
1/√[1−s]はs2をsに比べて無視する近似で1+(1/2)sで置き換えることができ*9、υが光速度に比べて十分に小さくs=υ2/c2≪1ならば
mc2/√[1−(υ/c)2]
⇒ mc2+(1/2)mυ2
となり、右辺第2項はニュートン力学の運動エネルギーである。
この結果は、物体のエネルギーは正しくは E=mc2/√[1−(υ/c)2]
……………(13.10)であることを示している。速度がゼロのときは有名な式E=mc2に帰着する。静止している物体もこの静止エネルギーをもつ*10。
問1の結果を調べ、静止エネルギーを含めると、エネルギーがどちらの系でも保存していることを確かめよ。
次回へつづく
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(※9確認)
これは級数展開の公式
(1+χ)−1/2
=1−(1/2) χ+(3/8) χ2−……
で、χ=−sとおけば(1−α)-1/2=1+(1/2) α+……が得られる。微小なαのα2(さらに小さい)以上の高次項を無視してある。これを用いれば、たしかにmc2/√(1−α)⇒ mc2 (1+(1/2)α)を得られる。(ただしα=(υ/c)2)
しかしこれ(ハ)は、速度υをもつ座標でmはどうなるか、を論じるものである。単なる物理量だ。これに突如c2を乗じるのはどういうことになるのか(疑26)? もちろん方程式にもなっていない。質量にc2を掛けたらエネルギーになるとは、物理学になっていない。c2をでなくυ2を掛けたら? また、cは水中やガラス中で大きく変わる。すると水やガラスに入ったとたんに物質の質量のエネルギーは急変するのか? 眉にいっぱい唾をつけないで、どうして素直に受け入れられよう。
*10 相対論におけるこの静止エネルギーというものはmにc2を乗じてみただけのものであって、これが物質のエネルギーであることの物理的根拠はこの理論においてどこにもない(疑27)。
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