C                不定期便  第83 
                             
  不定期便 83号   0131030  

     大学での相対論 6   E=mcの起源 2
 

 放送大学講義の受講を続けます。
 13章 電磁波とアインシュタイン
 13.3 光速不変性により時間の流れを見直す時間あわせ,ミンコフスキーのダイアグラム, 固有時間と運動による時間の遅れ,長さの短縮
を見てきました。  
   
今回は

13.4 E=mc2の起源からです。 

 ここまでよくご辛抱くださいました。 今回で「講義 相対論」は終わりです。
放送大学講義  初歩からの物理学 から        米谷民明教授
 講義内容  わたしの疑問

例題1の結果を調べ、静止エネルギーを含めると、エネルギーがどちらの系でも保存していることを確かめよ。


 運動量の式を合わせると、エネルギーと運動量の間の関係式E=√[22+m24]が得られる*1


がmcに比べて小さいときはE=mc2/2mとなり、
   (確認)
  E=mc2+(1/2)mυ  P.19
   =mc2+(1/2)(mυ)/
   =mc2/2
 ニュートン力学のE=/2mと、静止エネルギーを除けば調和することがわかる。


(*1確認) (13.10)式から
 =m4/[1−(υ/)……(イ)
sが微小であるときのsの展開式 1/(1−s)
≒1+s
は、級数展開公式*
 (1
+χ)−(1/2)
 1(1/2)χ+(3/8)χ2−……  (ロ)
 (1+χ)a
 =1+aχ+[a(a-1)/2]χ2+… (ハ)
()で、χ=−χ、a=−1とおけば
  1/(1−χ)=(1−χ)−1
  =1+(-1)(−χ)+[-1)(-1-1)/2] (−χ)2+……=1+χ+[2/2]χ2+……
  =1+χ+χ2+……   ………(ニ)
を得られる。これらは「理科年表」のうしろに、公式集として載っている。これを用いれば(υ/)=s≪1のとき、1/(1−s)≒1+sとなって、(2以降は高次の微少量ゆえ無視) ()
  =m4/[1−(υ/)]
  =m4 [1+(υ/)]……(ホ)
 ここでmの運動量=mυとしてυ/を(ホ)に入れれば
   =m4 [1+/(2)]
      =m4+c2
∴ E=√[22+m24]   ……(ヘ)

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 講義内容  わたしの疑問
 逆にm=0とすると、±/*2(?)である。つまり特殊相対論では質量がゼロの粒子が可能である。このときEが有限であるためにはυ=±2であるのに注意。 

















例題 2       .245

Kで静止している質量Mの物体の反対方向からエネルギーE/2の光子2個が同時に入射し吸収された。吸収後も物体の運動量はゼロで静止している。
 これを光子の入射方向に垂直な微小な速度υで運動する慣性系K´で考察しなさい。υ2/2はゼロで近似できる。



 答:光子が入射する直前の運動量は
  Mυ+E(υ/2* ………(ト) 全エネルギーは
 Mc2+Eだ。光子の入射角を垂直から見てθとすると、K´で見たときの光子の運動量は(E/c)sinθだが、υが小さいから)sinθ=θ=υ/cだからだ。
 入射後の物体の質量をM´とすると、入射後の運動量M´υと静止エネルギーM´2だから、M´=M+(E/2)で保存則が成り立つ。

 
つまり光子のエネルギーが物質に吸収されて質量が増えたわけだ。

*↑(また、Taylor展開式というものがあって、微分可能な数式ならどんなものでも高次多項式として表すことができるきわめて重宝なものである。大抵の数学書に載っているはず

*2 上で得た(ヘ)でm=0ならE2=P22となる。これをPについて解けばP=±√(E2/2)である、という計算であろうか? しかしm=0ならP=mc=0 (±は方向の違いと説明されるかもしれないが、実際には互いに直角な向きであってもこの式は成立する。この解の±はベクトル量を示すものではなく、方程式という数式上、負の値をもつ運動量にもなりうる、という意味になる。数学と物理学との基本的な違いだ。こうして数学は間違った物理学へ導くことがある)
 質量ゼロの光子は運動量を持たない。説明は±/cという数式をもてあそんでいるもので、m=0ならP=0(ヘ)からEもゼロになることを示している。数式の都合のよいところだけを取り出してはなるまい。式は質量ゼロの粒子が存在するどころか、m=0の粒子は存在しないことを意味し、光の粒子説を自ら否定しているものであろう。(28)


(図は筆者が作図)

3 確認)(ト)の第2項はどこから? K´での光子の運動量をE/cであると置いた? するとυ方向の入射直前の光子の運動量P
 P=2[(E/2)/c]Sinθ
   ≒(/)( υ/)

     =E(υ/2
と、なるにはなる。しかし、このEとは、いったい何なのだ? (29)
 
 入射前の物体と光子の持つ運動量は

   Mυ+E(υ/2
 入射後の物体の運動量は
   ´υ (M´は入射後の物体の質量) 運動量保存則から


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 講義内容  わたしの疑問

  静止エネルギーは光速の2乗で決まるので、ニュートン力学の運動エネルギーに比べてはるかに大きな値である。また、速度が光速に近づくと、エネルギーは限りなく増大する。逆に、エネルギーを限りなく与えても物体の速度は高速度を超えられない。何かの原因で質量が変化すると、エネルギー保存則により静止エネルギーが運動エネルギーに変換され、核エネルギーとして取り出せる。


13.5 時空の幾何学が、相対論の本質だ                    246
 一般相対論の要点を説明する。これまでなぜ特殊としたかと言えば、慣性系においてしか扱っていないこと、および、重力が取り入れられていないからである。アインシュタインはこの解決のための考察を続け、1915年、一般相対論で発表した。その拠りどころは
 1)等価原理:加速度による慣性力と重力は部分的に区別できない
 2)一般座標普遍性:物理法則は任意の座標系を用いて同等な仕方で記述できる
  1)は、もしエレベーターのような乗り物の鉛直方向の加速度が重力加速度と同じだと、重力は消去され無重力状態になる。重力加速度と乗り物による加速度とは区別がつかず、重力と同じ効果が乗り物に乗るという局所的な座標を変更することによって起こせる。
 無重力になった狭い領域を局所慣性系と呼ぶ。
 2)は、重力の役割は座標系によって変わるが、法則全体としては座標系の選び方に依存しないよう定式化できるという意味。 曲がった曲面を無数の小さな平面を少しずつ傾けながら張り合わせるのと同じである。この考え方によってユークリッド幾何学を一般化したものは19世紀にリーマンによって建設された。アインシュタインはリーマンの幾何学の方法を用いて、ミンコフスキーの時間と空間の考えを曲がった空間に一般化することによって、一般相対論を建設するのに成功した。
 その結果、時間の進み方は、重力が強いほど遅くなり、ブラックホールの表面では、遠くの重力が無視できる場所に比べ、限りなく遅れる。



   ´υ=Mυ+E(υ/2
   ´=M+E/2
 Eが光子の運動エネルギーE/2=(1/2)mc2(mは光子の質量)であるとすれば、  M´=M+E/2 =M+m
となって当たり前な式である。増えた質量とは光子の質量だけ、ということになる。

 数式の両辺に光速cを掛けたり、速度υで除したりと、自由自在だ。物理学を超越している。相対論は空想状態にあることが分かった。もはや、まともに読んでいられない。


わたしの考えを述べてみたい

 重力の加速度は、質量の存在によって生じている重力場の加速度であり、重力場の及ぶどんな空間にも重力加速度が働いている。
 ニュートンの運動第1の法則は、「物体は、外部から力を加えられない限り、静止している物体は静止状態を続け、運動している物体は等速直線運動を続ける」というものである。「慣性の法則」と呼ばれる。
 慣性の法則を裏返すと、慣性加速度は運動の変化(運動の加速度)によって、その加速度を起こさせまいとする向きに、質量に生じる。外力のない限り、質量の運動は変化しないという性質を持つ、と理解される。
  従って質量がゼロのものには慣性加速度は働かない。一方、重力加速度は重力場の及ぶどんな空間にも重力加速度が働いている。 自由空間にあって外力の働いている物体(質量を持つ物体)は運動速度が変化させられ、その結果、慣性加速度が生じる。
 マイナスの加速度で上昇するエレベーター内で立つ人の足は2という加速度を受けるだろう。体重mの人は2mという力を受けることになる。足に加わった外力によって加速度を受けている。だが上半身の各部はそれぞれ加速度を受けているものの、エレベーターの床から直接的に力をを受けている訳ではない。身体の各部を経て順に伝えられ、各部の弾力性によって少しずつ異なる外力となって伝えられる。
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 講義内容  わたしの疑問
 
 光線の軌道も重力の影響を受け、また、重力の変動が重力波として伝わることが予言される。

 GPSシステムでは、相対論で明らかにされた地上と人工衛星での固有時間の差を考慮して初めて実用的な精度が得られる。このように、相対論は私たちの日常生活にも無関係ではない。
       
(以上『初歩からの物理学』)


























 放送大学ではない他の分野からいくつか、力学に関するコメントを見てみよう。




Wikipediaによれば

《慣性の法則は、どのような座標系でも成立するわけではない。例えば加速中の電車内に固定された座標系では、力を受けていない空き缶がひとりでに動きだすことがある。慣性の法則が成立するような座標系を慣性系という。》*





 だから、足以外の身体は厳密には2という加速度を受けていない。一方、重力の加速度はエレベーターがどんな運動をしていようと常にだ。言うまでもなく、地球の万有引力により地表に生じている加速度である。

 それに対し、エレベーターの加速度による力は人体内部を通して伝えられる外力である。
 一般に一定外力による物体の加速度はその物体の質量によって異なる。バネ鉄砲を例にとれば、軽い豆は重い豆より早く加速されよく飛ぶだろう。同じ力によっても、慣性加速度は質量の大小によって変わるものである。
 重力加速度のほうは物体の大小いかんを問わず、同一重力場のもと、常に不変である。すなわち、慣性加速度と重力加速度とは同じではない。等価ではない。慣性力は、外力による物体の運動変化、したがって円運動によっても生じるが、重力加速度のほうは重力場のもつ加速度であり、いかなる質量にも同じ大きさで働いている。

 エレベーター内でふわりと無重力を感じるのは、落下(加速)により上向きの慣性加速度として、足にかかる重量が減じられたためであり、床から受ける重力から、エレベーターの加速分だけ減じられる。
 自由な宇宙空間では物体を構成するあらゆる部分(細胞やそれらをつくる素粒子たちも)それぞれすべてに重力場が働いており、その方向へ自由落下(運動の加速)するときは、これに伴う慣性加速度(運動変化させまいとする)があらゆる部分に生じ、無重力状態となる。もちろん、物体の質量がなくなるわけではない。

 空間に浮いているということは、静止状態にあるわけでなく、加速度運動をしているのである。何に対して? 静止空間に対してである。そこに重力場をつくっているすべての原因質量たちによる重力場の動きと同じに動いている座標(空間と言ってもよい)、これが絶対静止空間である(計算法は第77号で考えた)。光もまた、この座標にあって光速cをもつ。しかしこの空間は必ずしも無重力(重力加速度ゼロ)の空間ではない。




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 講義内容  わたしの疑問
 運動の第2法則

 「物体が力を受けると、その力の働く方向に加速度が生じ、その加速度の大きさは力に比例して慣性質量に反比例する.
 ニュートンの運動の第2法則を、現在の物理学用語で表せば、「物体の運動量 の時間に対する変化率は、そのとき物体に作用する力に等しい.」となり、これにより、運動方程式としての次式が定まる。

  

ここで、運動量 は、物体の質量mと、速度/dtを用いて、次のように表される (\boldsymbol{r}は位置ベクトル,tは時刻.)。

  

したがって、運動方程式を、に関する2階の常微分方程式として、以下のように記述することができる。

  

また、物体の加速度 2/dt 2をα で表すならば、以下の表現もできる。

  

















ここに働いている重力場のままに落下(加速度運動)している物体には反対向きの慣性加速度が生じていて、無重力で静止して見えても、実際には加速度運動をしているのである。見かけ上の静止空間でありながら加速度が働いている。つまり、この系は慣性系ではない。にもかかわらず、ニュートンの法則が成り立っている。相対論では慣性系ということになって、私どもとは見解が異なる。
 もっとも、ニュートンの運動第1の法則の成り立つ空間が慣性系であると定義するなら、たしかに慣性系である。

 Wikipediaに述べられている内容には、一部誤りが認められる。「慣性系」を慣性の法則が成立するような座標系と説明するだけで、慣性とは何かについては説明がない。
 加速する電車の中で物がひとりでに動きだすのは、加速に抗する向きに慣性力が働いているからであり、慣性の法則が働いている結果生じていることである。
  ひとりでに動きだしたのは空き缶ではなく、それを見ている乗客たちのほうなのだ。(目撃されたのは座標を列車に固定したために見える現象である) 

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