光速の背景
熊野 宗治
要約 Abstract
音を伝える媒質は明確に存在するのに対し、光は何に対する伝播速度を持つものであるのか、その媒質はいまだに特定されていません。そのため、運動する物体に関する理論において、理論上の様々な矛盾が生じる曖昧が残されています。本考察はこれに解決を与えようとするものです。
1. 光が走る場についての考察 Considerations on what light travels through
1.1 光速の謎と矛盾――在来論
光がどこを走るのかという議論はすでにエーテル論として尽くされたかに見え、媒質(エーテル)は存在しないとされています。しかしこれらはいかんともし難い矛盾を抱えるものと言わざるを得ません。このことに一つの解を与えるものとして本論を提出いたします。
これまで私どもが考慮してまいりましたところによりますと、光の絶対座標は幾何学的には定められません。その方法では、決まって矛盾が生じます。
従来科学者がこだわってきた光の絶対空間はどこにあるのか? 私自身もそうであった思索は以下のようでした。
走行する車中で私がランプを点けたとします。もし光の絶対座標が私の列車に静止していたとしますと、車中での光速cは光の絶対速度でありましょう。だとしますと、地上の人にとっての光速は、cに私の列車速度υの速さが加わってc+υになるはずです。もし地上の人がライターを使ったため光を発したとしましょう。その光はc+υの速さを持つでしょうか? 彼は「そうではない、このライターに対してcである」と考えるでしょう。そうしますと車中の私にとってc-υとなります。光の座標は地上ということになります。
では光の座標はその光を発した物体に対して静止するのでしょうか?
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Background of Running Light
Muneharu Yuya
The medium which transmits sound waves, clearly exists. However,
the medium against which light should have wave-velocity is not yet confirmed. Therefore, various theoretical inconsistencies have
occurred in the theory concerning the moving substances. We
expect this consideration will lead us to a solution.
1. Considerations on What Light Travels Through
1.1 Mystery and inconsistency of the velocity of light――Traditional theory
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