光速の背景 51 | 次ページ | |||
第2章 疑うべき学説 |
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マイケルソン干渉計の光源から出た光は、スプリッターで二光線に別けられ、それぞれリングを逆廻りに進むが、相対論によれば、地球の自転のため互いの伝播時間に差が生じ干渉縞ができるだろうというものである。 結果は波長に対し0.25の縞のずれが得られた。参照したその書物によれば、「しかしながら、この結果は相対論と一致しただけでなく、フレネルの従来の静止エーテル理論とも合致した」とあるが、前半には思い違いがある。 相対論によれば、地球の自転に伴いこの長方形のリングも回転運動をしており、同じ方向へすすむ光は回転速度分だけ時間が伸びる(時間がゆっくり進む)。片方は時間が縮む(時間が早く進む)。両方の時間差が干渉縞となって現れる、というわけである。しかし、相対論では運動するものはその速さに応じて長さが縮むことになっている。相対論が正しければ、時間が遅れるだけ寸法が縮み、その結果光の到着に両光の差は生じることがなく、干渉縞のずれは生じないことになる。マイケルソンの最初の実験で、地球の公転速度による光速の差が見られなかったのを相対論に一致するとするなら、このリングの実験についても、差が見られないものでなければならない。
その正しい分析はつぎのようであろう。地面に水平に置かれた長方形のリングは地球の自転と共に水平に回転運動をしている。その回転運動は、極地であれば一日あたり1回転の2πである。赤道付近では回転は生じることなく0であって、イリノイの草原がある緯度では中間的な回転速度を持つ。その緯度がθだとするとSinθを乗じた値で回転している。
それに対し、リング方式は、リングの外のいかなる並行運動も相殺運動として消去している。自体の絶対運動こそ捉えることは出来ないが、リングの回転速度のみを純粋に捉えることは出来たのだ。 |
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