光速の背景   55 次ページ

第2章 疑うべき学説
 ニュートリノよりも3時間も遅れてくる程度の衝撃で光るくらいなら、その3時間前の膨大な量のニュートリノたちの高エネルギーによって輝かなかったとは、わたしには考えにくい。
 中心核崩壊によってニュートリノと光が同時に飛び出したが、ニュートリノの超光速が16万光年という長距離を走る地球のゴールまでに、光を3時間引き離したとするのが自然であり順当であろうとわたしはみている。

(ほころ)びる相対論
 以上のような諸事をもってすれば、理論上も、実証的にも、相対論が正しいとするような証拠がない。天才科学者によるとされてきた特殊相対性理論であるが、どうやら不合理な仮定に立つための矛盾を、すり替えや錯覚によって普請されてゆく虚論にすぎないようである。さらにこの特殊相対論は、ポアンカレからの横取りであるとも噂されている。それでも天才の理論として信じている人は数知れない。いったいなぜ、そんなことになるのか。
 相対論のもつ綻び――あの有名な、双子のパラドックスをはじめ――を繕う擁護者たちによって新たにほつれてくる綻びや、相対論の誤りを示す実証については、既刊『アインシュタインの嘘とマイケルソンの謎』にいくつも掲げたが、本書ではもう十分であろう。ポアンカレや別の科学者によるものであっても、これと同類な、“時空”と称してctなるものを含むものや、物理的に同じ状況に達した瞬間を複数の座標間で表わす時刻がtとt′などと異なる(ヽヽヽ)ものは、その時点で、物理学とはちがうことをもう諸君はお見通しであろう。
 人々の観念にしっかりと植え込まれた“特殊相対性理論の難解”は、天才によるゆえの“難解”ではなく、稚拙のために生まれた“不可解”であったのにすぎない。

3 ビッグバンの疑問
 ビッグバン理論にはつぎのような腑に落ちない点がある。宇宙は等質膨張をしている、というのがビッグバン理論の基盤になっている。そういう爆発は可能だろうか?初期爆発だけで終えたとすれば、中は空洞になるだろう。一様等方膨張が続いているのなら、永続的に連続爆発が続いているか、じょうろで水を撒くように全体に満遍なくエネルギーを撒かねばならない。そのエネルギーはどこから湧いてくるのか? それとも、風船ガムのように同じ比率で広がっているのか? これには前にK氏あて手紙で触れたように矛盾が満ちている。
 ビッグバンに関する書物によればこうある。《銀河をのせて空間が動く。何ものかが一様に膨張する場合にはC/H以上の間隔にある二点の間の速度は光速以上になりえる。光速以上でも全然かまわない。ただ、光速以上で離れつつある二点間には決して物理的作用は達しえない。簡単にいえば決して“見えない”。観測者にとってのハッブル半径という。空間が大きくなり、銀河系は空間にへばりついて動く。宇宙が等方に見える無重力の座標系を各点に設定した時に、これらの系の相対的な運動に表現されているのが空間の動き(『ビッグバンの発見』)》である、と。
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