光速の背景  103
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第4章 未来への道
一周走らせ、互いの間に時間差があれば、これを波のズレによって観測するものである。波のズレは干渉縞となって現れる。
 光を透過と反射の二方に別けることができるスプリッターによって、ひとつの光を別け、互いに逆向きに一周させてから、再びスプリッターによって合流させるものである。この大きな長所は、どんなに大きな環でも、二つに別けた光は向きが逆なだけで光路長さは、正確に等しいことにある。環を大規模にすればするほど精度を上げることができる。
 さきほどの考慮から、場は自転していないと考えられる。それは(磁気が必ずペアの2極で存在するのに対し)単極の重力場がもつ対称性のゆえである。
 しかるに、この実験において装置はその重力場に対して自転速度で運動することになる。そうすると、環は地球の自転の角速度に実験地の緯度の正弦(Sinθ)を乗じた回転速度を、重力場に対してもつことになる。光速はその重力場に対して常にcである、とするのがぼくらの仮説であるから、装置の回転方向速度υとは逆向きに相対速度(マイナスυ)を生じ、その差は互いが逆向きであることから2υとなって検出されるはずである。
 なお、このM‐G‐P実験は1925年に米国イリノイ州で実施され、実際に0・25波長のずれを観測し、したがってこの実験はすでに事実上、わたしたちの法則を実証している。


〈 M‐M実験による実証
 M‐M(マイケルソン=モーレー)実験はM‐M装置(直角二方方式)を用い、マイケルソンたちは光を地球の公転(ヽヽ)方向と、それと直角な方向とに別けたものである。ぼくらの検証のためには地球の自転(ヽヽ)方向とそれに直角な方向に別けて試みる。この方法では、光源としてレーザー光を選んだとしても、二方に分けた腕の長さをかなり正確に等しくしなければならない。
 装置は南北方向には静止し、東向き(自転方向)にはυの速さで動いている。法則によれば装置に近い地面によって生み出される重力場の移動のため相対速度は低減され、光の相対速度は減少して検出されるだろう。
 一方、地球の裏側部分は装置に対し逆向きの速度を持っている。しかし、距離が遠いため光に明瞭な相対速度を生ぜしめないだろう。いずれにしろこの装置によって相対速度を検出することは難しい。したがってこの実験では「干渉縞のずれは検出されないか、されてもわずかである」と結論される。
 地球自転速度に着目してM‐M装置を用いる実験については、マイケルソンたちが想定した地球の公転速度に対して、われわれの地球自転速度ははるかに小さいもので、それだけ精度を上げる必要がある。それには二方に分ける腕の長さを長くしたい。だが、長くした腕の長さを等しくすることはますます困難であろう。地上でのM‐M実験は現実的ではない。最も信頼のおける実証実験は、宇宙空間(ヽヽヽヽ)においてマイケルソン干渉計(M‐M装置)によって干渉縞のずれを観測する方法だといえよう。 
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