光速の背景  85 次ページ

第4章 未来への道
あってその磁場に対する速さにちがいない。その相互作用の伝達こそが電磁波とされるもので、光はその仲間であると知られている。
 もしもまた、コイルの起こす磁場のほかに、すでに別な磁場が存在していたとすれば、その磁界からも作用をうけるにちがいない。すると、その在来磁場の影響もまた磁場振動の伝達速さに及ぶだろう。振動が慣性(これをひき起こすのは質量である)に起因するものであるとすれば、その質量がおこす重力場がその伝達にやはり一役買っている、とは十分に考えられることである。重力場もまた光に働いている“まとい”であろう。伝達速さに無関係ではないはずである。
 またもし、電子線のような微細な粒子が高速で走るときには、その周りに磁場を明滅させ、質量が小さいため高周波の振動を生じ、いくらかの共振周波数をもった波動のような性質を見せるのではないか。原子もまた、あるときには最小単位の磁石であり、あるときには最小単位のコイルであると解せられる。だから原子や荷電する素粒子は極微の磁石であって、磁場にあっては絶えず回転運動をおこし、波動をみせるだろう。しかし“粒子”自身は決して“波動”ではない。われわれはこのようにして、質量と場の関係、場と場の振動ということがすべて関連性をもっている、という考えに、合理性を持って導かれてゆくことになる。すべてのものは連続している、と。

見つかった「里程赤方偏移」
 わたしは二つの重要なことを発見しえたと考えている。その一つを先にお話してしまおう。赤方偏移が星の後退のために起こると考えることからビッグバン説が生れたものであるが、この説には、第2章に示したように多くの矛盾がある。そこで、赤方偏移はべつの原因でおこると解することが、あらゆる矛盾が解かれるために有効になると考えた。それが「里程赤方偏移」という仮説を提唱する理由である。それは次のようである。
 電磁波は常に同一の振動数と同一波長を保つわけでなく、伝播の途中で進行距離R(光年)に応じごく僅かずつながら振動数が減少するとし、その減数率を仮に「ユヤ減数」と呼ばせていただけば、今のところその値は y5.2×1011 光年と概算している。これは現在の天文学で示される各星までの距離に近い値となるように意図的に定めた。すると星までの距離は
  R.bmp ……………………………………4‐①
として求められるだろう。ここでSは赤方偏移λ/λである。
 さらに、その星が接近しつつあるか後退しつつあるかの速度を持つ場合には、そのためのドプラー効果として起こる赤方偏移を±Sとして加えると、相対速度υυ=C×(±Sと表わせることから、後退をプラスと約束することにすれば、Sは後退の場合プラス、接近の場合マイナスとなる。その場合、星までの距離Rは
  RandDopl.bmp光年……………………………4‐②
となるであろう。これを新しい赤方偏移仮説として、わたしは提唱したい。ここでκは“ユヤ減数”の逆数で、κ=1.92×1010光年、これを「里程偏移率」と呼ばせていただいている。その際に減数となって失われるエネルギーは淡い物質場に変換され、宇宙空間に「幻子」を生成させると考えている。この赤方偏移説はまだ仮説の域を出ないが、いずれ実証されyの正確な値が見つかるだろう。その際、発見者の名に改められるとよい。
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