光速の背景  90
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第4章 未来への道
観測するには、光の場つまり地球(ヽヽ)()対して(ヽヽヽ)運動しながら、でなければならなかったのである。クリフォードの動く実験室がもつ光の座標は、地上に対して静止している、と考えることをもう保障してくれる。ぼくらはこれらの結果から、光についてのさっき述べた〝もうひとつの仮説〟を提唱した上で、光の場つまり光速の背景は重力場に一致するであろう、とする「光の重力場法則」を提唱することにした。もちろん、この光の背景(ヽヽ)()対して(ヽヽヽ)運動する者は、光の相対速度を観測することになる。これは、「われわれに見つかった光の場」について明瞭に規定するであろう、まったく新たな仮説である。
 以上のことを、つぎにきちんと整理することにしよう。

光速法則


第一法則
 光速重力場法則

光は重力場を背景とし、この背景に対して常に光速cで伝わる。
 cの値は重力場の強度によって不変ではない。


第二法則 重力場分配法則

  ある空間における光の背景速度はその重力場をつくる物体らの運動速度を、各物体から及んでいるニュートンの万有引力則における万有引力の比で按分されたベクトル和として与えられる。それはそれらの物体の最も速い速度を超えない。

光速の法則とその解説

 ここに用いる用語について、光の「背景」とは、光がどの方向にも等しい速さcで進む空間を意味し、従来呼ばれている「エーテル」と理解されてもよい。文中それと異なる「背景」と呼び与えたのは、アインシュタインの特殊相対論の説明に用いられた「エーテル」との混同を避けるためである。

 また、第二法則によって、背景速度の定量は下の式で与えられるだろう。ここで万有引力常数Gが真に不変であるなら、Gは式中約分によって消去され無用のファクターになると思われるが、あえて式中に置くのは、Gが物体までの距離に応じて相異する可能性を完全には否定できないからである。

0C

=Σ

Gmυ

/

Σ

Gm
r2 r2
(m:物体の質量 rその物体までの距離 υ:物体の運動速度)


背景速度を求める

背景速度の正体
 光速が何に対してのものであるかを示す、その背景というべきものが〝光の静止座標〟である。その静止座標はどのように決まり、したがって、われわれはどのようにしてそれを求めたらよいだろうか。もしわれわれが、ある速さで走る船上にいて、船上で玉をある速さで転がせば、その玉は岸に対しては川と船の速度にわれわれが船上で玉に与えた速度を単に加えた速度として持つだろう。船は流れる水の上に乗る物であり、玉は動いている船のに乗って転がるものだからである。
  しかし、いくつかの動きを持った水の塊り(流れ)混じりあう場合の速

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