光速の背景  93
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第4章 未来への道

である。これが川の場合の各断面積Sに相当する。各重力場の動いている勢いはこれにその運動速さを乗じたものとなろう。
 かくてその空間における背景速度の総和は下の②式と表わせよう。
    ………………………

Gが不変であるなら
      ……………………
 Gが不変だとすれば③式ということになる。89ページの4-③式のKはこの分母の逆数として決定されたわけである。
 具体に、次のような例題を試みられ、より明瞭なご理解をたまわりたい。 

――例題――

 6つの天体がある。いま背景速度を知りたい空間の一点P(観測点)に対して、表に示すように、各天体のもつ速度υiυ1υ2υ6,質量mi2050,…1000
 またPから各天体までの距離ri1,2,10,100…である場合はどうか?
 
Mi 速度υi 天体の質量mi 観測点までの距離  r
1 υ1 20    
 2 υ2 50    
 3 υ3 100   10   
 4 υ4 50    
 5 υ5 200   20   
 6  υ6  1000   100   
 

3

――例題の解――

 背景速度方程式から
 分母 = 20/12+ 50/22+ 100/102
  + 50
/52+ 200/202+1000/1002
 = 20 + 12.5 + 1 + 2 + 0.5 + 0.1
 = 36.1
 分子 = 20υ1+ 12.5υ2+υ3
  + 2
υ4+ 0.5υ5+ 0.1υ6
 合成速度
  = (20
υ1+ 12.5υ2+υ3+2υ4
  + 0.5
υ5+ 0.1υ6)36.1
と得られる。ちなみに、もしすべての天体速度がυ1という同じ速度であった場合は、
 合成速度= (36.1υ1)36.1= υ1  つまり光の背景は天体と同じように動いてゆく。言い換えれば、光の静止座標は天体たちに静止する。
うち、υ2のみが2倍の速さυ2= 2υ1を持っている場合でも
 合成速度=υ1+ (12.536.1)υ1  =(48.636.1)υ1 2υ1= υ2 となってυ2を超えないことが分る。
       表
4
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