ビッグバンの疑義 熊野宗治
―迷える物理学―   不定期便第69号 から

 
    ドプラー効果が原因ではない

 
そもそもの元であるビッグバンのがいかにして生じたのかは飛んで、現在、ビッグバン説が大手を振っている。そのがいかに誕生したかは、まあ小さいことだからいいじゃないかというのか、誰も考えようとしない。しいて問いただそうとすると、マイナス時間と結合したような、ミンコフスキー時空とかいう話になって、ここまで来ては、バカじゃなかろうかと疑いたくなる。けれども、もちろん、小生のこの随筆を本気で本にしようと思うなら、文章はもっと当り障りのない穏やかなものに書き直さなくちゃだめだ。信奉者は少なくないし、ノーベル賞をもらった先生でさえ、まじめにビッグバン説を信じておられるくらいだから。

 ところでもし宇宙膨張が赤方偏移の原因であるなら、おかしいことがたくさんある。前号の試論でも、光の媒質が運動していない限り、互いに静止した星たちの間でドプラー効果つまり赤方偏移は生じないはずであることを確認した。そしてまた、カフェでの観察によれば、静かな物と物との間に相対速度は存在しないことがわかった。物と物指が同じように膨張していれば、互いに相対速度は生じないからである。宇宙膨張がドプラー効果の原因になることはありえないことが分かった。

 100歩譲って、もしも本当に星明りの赤方偏移がドプラー効果によるものなら、宇宙膨張ではなく実際に星〜地球間の距離が離れつつあるほかない。夜空に見えるどの星も地球から遠ざかっているというのだから、彼らの広がり方の中心は地球でなければならない。全ての星が地球を中心にして後退運動をしていることになる。地球はそれほど奇跡の星であろうか?

 ちがうちがう、絶対にちがう! 赤方偏移は別な原因によって生じているはずだ。そこで考えられるのは、「電磁波は伝播の途中で進行距離に応じ、ごくわずかずつ振動数が減少する現象が起きる」という里程偏移説だ。小生による仮説だが、それでほぼ正しいと小生自身もそう考えている。