光の速さは一定か 4
MGP実験の論証
ところで、ぼくらの、光の「相対速度論」に照らすならば、MGP実験が得た0.25という波長のずれは相容れない結果になっているだろうか。それを確認しておこう。
リングは互いに逆向きの各光に対し、υおよびマイナスυで動いている。従って光の各相対速度はc+υおよび c-υである。双方の干渉計での到着ずれは、光がリングを一周するに要する時間t秒の間にリングの動く量である。互いに逆向きであるから、それは片方の倍量で現れる。
それを知るには、まず地球自転に伴いリングの回転する周速度vとtを求めることが必要になる。地球自転の角速度ω0は、1周2πを1日で廻ることから、秒速は
ω0=2π/(24×60×60)=7.22×10-5ラジアン/秒
となる。実験の行われた位置が(実際とはやや違うかもしれないが)緯度45度だとすると、このリングの角速度ωは
ω=ω0 Sin45。=5.02×10-5ラジアン/秒
リングは円形でなく長方形であるから、リングの各部の円周速度は位置によってちがうが、全部の平均として大まかではあるが平均半径Rのリングであるとして計算すれば周速度υはυ=Rωである。
周長が2(300+600)=2πRメートルであることから、平均半径Rは、R=0.286qとなる。すると片方の光の光路差はυt、もう片方はマイナスυtということになる。そのtは、リングの周長1.8qを光速cが1周する時間tであるから
t=1.8/c=0.6×10-5 sec
すると両光の光路差dιは
dι=2Rωt=175×10-9 m
と求められる。このようにして、相対速度理論によれば、光の標準波長とされている605.8nmに対して、このずれdιはおよそ
dι/λ=175×10-9 /605×10-9=0.288
のずれと予言される。
実験結果は0.25とされている。さっきの計算では長方形リングを円と見做し、緯度を45度と近似させたことからすれば、ほぼ一致したと見てよいだろう。また、マイケルソンたちがどんな波長をもつ光源を用いたかによっても幾分かの差異は当然生じるはずだ。
はっきり言えることは、この自転運動によっても干渉縞のずれは生じないことが相対論の前提になるべきところ、この実験結果は相対論の大前提を明確に否定したということだ。そしてこの実験にはおそらく報道陣が密着して取材している。読み取られた値がそのまま発表されたことだろう。 (『幻子論』新思索社刊)
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