特殊相対論の疑問

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疑問

                       
☆  ☆ 特殊相対論0への疑義 ☆  ☆
 
 ここで彼は、磁石が運動すれば磁石の周りに電場が生じる、と言っている。なにか空間を想定して、それに対する運動のように考えているようだ。しかし磁石が運動しても、場が一様である磁石の中心部では「磁石の周りに電場は生じ」ないだろう。私の考えでは「コイルに対して磁場が変化すれば、コイルに」、と言うべきである。磁石が運動しなくても電場を生じさせる例を探せば、電磁石がある。電磁石も磁石と同一の性質を持っており、電磁石を静止させたままでも、磁場の強さを変化させることによって、コイルに電流を生じさせることができる。これを見ても電磁現象は、運動とは直接には関係のないことが分る。

もしもここに書かれている通りなら、磁石が運動するのと同じようにコイルも運動したらどうなるだろうか? 磁石の周りに電場を生じさせながら運動する、というわけになるが、おそらくコイルに電流は流れないだろう。マクスウェルの電気力学は、運動とは別の現象を取り扱っている理論である。
 揚げ足をとりたくはないが、マクスウェル電磁気学は「電磁気学」であって、必ずしも「力学」ではない。電場、磁場の双方の相互作用に関する理論である。「磁石の運動」とアインシュタインが言っているのは、磁石を動かしてみて観察したものだろうが、これらの相互作用は、運動とは必ずしも関係のない「場の変化」に関する理論である。磁石の運動と電磁誘導とを直結して考えのは、はなはだ初等的理解であるように思われる。
 “光の媒質”に対する試みの失敗とは、マイケルソン干渉計が方角による光速の違いを見出せなかったことを言っているのは明らかである。

この前置きの文は、彼の理論全体を立てる基盤として書かれたものである。力学(運動法則)が成り立つ全ての座標で、電気力学や光学の法則がいつでも同じ形で成り立つ、としている。いわゆる、相対論解説本によくある「慣性系」ということらしい。
 私も、彼の言う第二の要請だけなら、およそ正しいと考えるが。

                 
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  AIU Planners Co., Ltd. 熊野宗治