日本の心情と行状

(ことわざ)たち
 そっと見守ってくれるものがある。静かにささやいてくれるものがある。そいつには一円の謝礼も支払ったことはないが、深い思索へいざなってくれる。
 それは失敗を笑わず励ましてくれる。打ちひしがれた心を助け起こしてくれる。進むべき方向も、時には教えてくれる。 それが諺(ことわざ)だ。時には罰を与えることもするし、褒めてもくれる。たくさんの諺たちが。こんなに有難いものを、私たちは放ってなんかおけまい。
 
 迫真社の前身は建築設計事務所です。よく間違った建築用語に出合って戸惑うことがあります。火災や地震のニュースなどの際に報道のプロであるメディア関係者が間違った用語を用いていると、専門者の胸を混乱させます。一般的な基本用語をざっとながめてみましょう。

(えん)の下の力持ち
 辞典には「人の見えないところ知らないところで、いたずらに努力すること」とある。
なんと!「無駄な努力」という意味だったのだ。人知れず役に立っている、という賞賛のつもりで使った記憶がある。失礼なことを言ってしまったのか?

 蝸牛も一家の主(あるじ)
 カタツムリは弱い動物だが、しょっている貝の主人で、貝は小さくてもカタツムリにとっては楽しいわが家である。我が家はスーパーで安物をあさるのと同じ気持で建てるものじゃない。とてつもなく大きな買い物。うんと小さく、わくわくしながら大事に建てることだ。

 口たたきの仕事下手;
 口ばかり達者で仕事はさっぱりなことをいう。多弁な者は実行することが少ない。最も高い音を立てるのは最も悪い車である。 
 物事を真剣に考えていると誰でも無口になるものだ。ぺらぺらとお喋りをしていて素晴らしい構想が湧くはずがない。
もっとも、建築家にも、その場はにこにこ、事務所にもどって頭を抱えるお調子者は居る。
 工務店でいうと、愛想よく聞いてくれる営業マンがどんなにいい人だな!と思っても、かといって、いい建築を造ってくれるとは限らないと考える方がまず正しい。何も考えないからこそ、何でもホイホイ受け入れる。破れたチリトリにパッパッてなものだ。(口応えなどしていたらそれだけ入金が延びる!)ハタ目にはまことに感じがよい。いつの間にか、失敗は全~んぶ「お客様の我がままのせい」。あとの祭りだ。

迫真社 国語辞典

(みず)
 水は清らかである。美しい。…時に虹を産む。
 水は生き物を育む。船を浮かべて運ぶ。
 水は閉じ込める、溺れさす。水は崖を削る、破壊する。
 人(ひと)
 人は優しい、懐かしい。
 人は賢い、おもしろい。
 人は恵まれた生物だ。二本足がある。しかし、なかなか歩こうとしない。
 人は残酷だ。欲張りだ、愚かだ。人は気の毒だ。水から生まれた。だから人は美しい。水に似ている。だから、人は…分からない。
 自由(じゆう)
  すべての人間が、自由を得るや、その欠点を発揮する。強い者は度を超え、弱い者は怠ける。
 ワープ……ゆがみ
 宇宙空間のゆがみ。また、それを利用して超光速旅行をすること。実際にあり得るかは疑問。そのゆがみは、寝ている人にも乗物で逃げる人にも、光は同じ速度で追ってくるという妙な前提からアインシュタインの方程式で与えられるという。矛盾と錯覚を交えてひどく込み入った理論だから、素人が反駁するのは至難の業だ。
 対性理論狂気
 頭脳の不完全な物理学者と、権威好きと、ジャーナリストとの化合物に発症した。この狂気を治療しようとした正気の研究者たちは、(たとえばロシアでは)実際に精神病棟に送られた。まさしく狂気である。
 勉強(べんきょう)
 勉強は競争ではない。連体の糧である。自らの存在である。自分が受け持つところを見出すことである。それ以外のことに力が出せいからと、しょげることはない。まして、恨むことも。
 民衆2………民衆は実に整然と前に揃って並ぶから、こんなに御されやすい群れは無い。とても素直。羊のようである。ある種の危険や誤りを警告してやっても、聞こえないことがほとんどである。
 (しり)
 人やサルには中間にある。台尾。カンナの刃を出すために叩く部分も云う。動物では大抵最後尾につくことから、成績や競争で最も劣る者を指すことがある。
  また、人が働くに、立ち上がる必要から、なかなか仕事に消極な者を指して、これが重い、などと表現される。その重い人を働かそうとするときに、カンナと同様「尻を叩く」ことがある。逆にすぐ動く軽率な者を、これが軽い、てな具合に使用される。
 民主主義(みんしゅしゅぎ)
 往々、多数決主義のことを云う。正しかろうが邪悪だろうが、他人事を大勢で決める。だから、個人がおろそかにされる社会体制。
 (した)
 悪いことをすると地獄の入り口でエンマ様に抜かれる。それほどであるから、武力より強いとも云われる。けだし、悪知恵のことが多い。ことに、二枚舌とか舌先三寸とか云い、詐欺師や山師、代議士がよく使う。たいがい笑顔につられ、その舌に丸め込まれる。相手の上手ぶりに失語するほどの場面では、これを巻くとも云う。


第二部 各地点描
長崎・出雲・足立美術館・広島

富岡製糸場・臨江閣・近代美術館・東京駅・輪島小淵沢・小諸
五能線・斜陽館・
佐渡金山
フジ河口湖・山梨リニア