B  不定期便  第32号
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外見的には、コマが落ちないようにすこし凹ませてある箱の上で、普通に廻っています。これを廻すための見えない糸がコマに絡ませてある訳でもありません。どのようにすればコマの回転を促すような加速度が加えられるのだろうか? 箱を開ける前に、自分でそのメカニズムを考え出そうとしてみましたが、思いつくことが出来ませんでした。完全にシャッポを脱いで、開けてみることにし、電池をつなぎました。
 
 中身はあっけないほど単純なつくりでした。髪の毛ほども細い銅線で重厚に巻いてあるコイルが、
中心の鉄芯に落とし込まれているだけです。コイルの端部がその電池につなげられるように作られています。コマのほうは図のように、永久磁石の小さな円盤が埋められています。しかし、このままではコマを廻す働きをするはずがありません。

 変動しない磁場は、どんな電流もコマに生じさせません。これまでに小生が抱いていた先入観によるなら、廻されているコマは反電流によって抑制されるはず…というものです。いったい、コマを廻る方向へ誘導しようとする作用はいかにして生じるのだろうか?

 小生はその構造がどうなっているか調べようとしました。幸い、その機構は透明なビニルシートに簡単に包まれているだけで、そのまま見られる状態でした。それは誰に見られても、それを理解して模造する人物など現れまい!と言っているようです。
 目を凝らさないと見えないくらい細い銅線は、コイルの端部からたどってゆくと、どうやら電池と直列につながるようです。これだけでコマは廻るはずがありません。
   非常に単純な構造ながら、よく見ると、マッチの頭ほどの小さくて黒いものが端子につなげられています。非常に単純な構造ながら、よく見ると、マッチの頭ほどの小さくて黒いものが端子につなげられています。非常に単純な構造ながら、よく見ると、マッチの頭ほどの小さくて黒いものが端子につなげられています。
 小生は、これはコンデンサーであろうと考えました。コンデンサーは、コイルとは並列につないであるようです。そこへ電池が並列につなげてあります。すると回路は、どうやら図のようになるでしょう。これはラジオの配線などで、発振回路としてよく用いられるものです。増幅回路としても組まれます。固有振動数を持つ水晶を組み込むと、水晶発振器ができましょう。
  
推定回路

コイルはこれまで度々お話してきたように、反抗作用があります。運動物体の慣性のような、なかなか動かない働きがあります。変動電流に対して変化させまいとする働きです。IHヒーターで出遭った、反電流を起こさせる張本人です。

コンデンサーのほうは+−の薄い両極が向かい合わせにあって、互いに引き寄せ合った静電気がここに貯められる素子です。つまり、+−の電子があれば素早く引き合い、コイルとは逆に加速度のような働きをします。

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