B  不定期便  第33号
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 内コイルに流す電流が交流(波形の入った小丸が交流電源を示します)であれば、巻き数を多くした出力側では大きい電圧になって、位相は逆転しています。位相が逆転するのは、電磁誘導は対抗する向きに生じるからです。これはトランス(変圧器)というものに他なりません。本件のコイルも同様にトランスになっているものです。

 さて本件の場合、コイルの太い側(外巻)を一次側、細い側(内巻)を二次側としてみましょう。コマの回転からきている外磁場が、図のようにN極が増している場合、としましょう。
 すると一次コイルは電磁誘導(反電流によって生じる)を生じ、外磁場に抗する向き、図では上向きとなります。この向きの電磁誘導は内巻の二次側でも生じています。この誘導に対して二次側(鉄芯に近い)では反電流(自己誘導のようなもの)がコンデンサーと電池の起電力とコイルの巻き数によって増幅されて、一次誘導に抗する向きつまり下向きで電磁誘導を起こしましょう。結果的には外磁場の向きと同じになります。すなわち順磁場です。これはたいへん増幅されています。さらに鉄芯によって磁力線は強化され、コマの永久磁石の磁場に及び、それは位相反転によってコマの磁場変化と向きが同じになっています。つまり、順磁場となってコマの磁場変化は促進されます。一つの謎が解けて、追い風となってコマは勢いを増すわけです。もちろん増幅された磁場変化へのエネルギーは電池の電力が供給します。喩えてみますと、大きいコイルの一次側はコマの音を聞き取り、(それ自体はコンデンサーで感受性が向上されている)耳の役割を果たしますが、電池は直列していず、それ自体では増幅していません。
    鉄芯に近い二次側は、一次側で聞き取った音を位相反転しながら増幅する働きをして、コマのほうへ指令を出しています。 こんどの小生の見直しによって、電池の線は途中の空隙で断たれていて、コマを廻さなければ電池の消耗もないことが分かります。そんな賞があるなら「玩具大賞」でも与えられるべき、驚異的に優れた玩具であります。


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 しかし、なお、もやもやが残っています。自分で決めておきながら言うのもなんですが、いったい、こんなに小さなコンデンサーはあったものでしょうか? コンデンサーは向かい合わせの面積によってその容量を得ます。近代の格段に進歩したナノテクノロジーをもってすれば可能なのかもしれません。それから、3極のコンデンサーというものは市販されているものか?という疑問です。インターネットで探してみても見つかりませんでした。ということは、あの米粒ほどの部品はコンデンサーではないのかもしれません。三本足で次にすぐ思い起こす電子部品はトランジスタでしょう。再びインターネットで調べますと、それらしいものが見つかります。

トランジスタというのは、両極がエミッタ(E)とコレクタ(C)になっていて、エミッタにマイナス電荷の電子が、電池からの供給によって溜められます。コレクタは陽極となって、正孔(陽電子に相当するものとされます)ができます。エミッタとコレクタの中間にPという層が挟まれてあって、ベース(B)と呼ばれる極になります。
 トランジスタは図(まるい円の図)のように表記されます。図は一般的なnPnという3層からなるものです。

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