もしこの地殻変動によって地球の密度がわずかにも増大するとすれば、SiはS0よりわずかに大きいでしょう。この件に関連して地球物理学者リチャード・グロス氏による「1日の時間が100万分の1・8秒短くなった」という発言があります(もっとも、密度変化によるとは書かれていません)。
私は、表層(地殻部)では密度変化はないか、あったとしても極微であると考えますが、高かった部分が低くなれば慣性モーメントの低下となってわずかに自転速度が上がるであろうということは、理論的には言えるかと思います。ではこれまで、歪みの蓄積されてきた過程では、自転が遅くなっていたのでしょうか?この議論は細かすぎてなんとも言えません。
ともかく、震災を大きくしたのは想像を超える恐ろしい津波でした。茨城県より以北4県(青森、岩手、宮城、福島)の臨海市町村の広域な奥地にまで押し寄せ、住宅の全てと中小建物の悉くを破壊し尽くし、瓦礫に覆われた大地に戻しました。延べ400平方キロメートル浸水(国土地理院)したといいます。
恐怖と苦痛の犠牲となった、おそらく2万人を超えるであろう、御魂の冥福を祈りつつ、この想像を絶する大津波のエネルギーを、小生なりにごく大雑把に算出してみようと思います。
この悪夢のような災いの中にも、国じゅうが助け合い団結を強めています。 |
|
それと、多数のこころ温まる物語や友情溢れる世界各国からの励ましの言葉(ことごとく涙するものですが)については、ここでは触れないことにします。
さて、建て替えに際して1棟を取り壊すにも、重機やブルドーザを用いて煙を吐きながら相当なエネルギーを消費します。一夜にしてその全棟を果たし、残りは海洋へ引き返したはずです。
東日本沖で、プレート間の摩擦が解けてせり上がった幅をW0㎞、長さをL㎞としてみましょう。その跳ね上がり鉛直高さが最大⊿h0㍍(最大4㍍あったと聞きます)とするとき、この細長い三角形をつくる断面積をS0と仮定します。Wは三角形を形成する幅です。これは上下動の不変な地点である「節」から断層までの距離です。この幅は震源の幅というべきもので、断層の滑り幅W0として示された200㎞よりも大きいと考え、大雑把ながらW=300㎞と仮定してみます。すると、プレート盛り上がり断面積S0は平均
S0=(1/2)W×⊿h0
となります。
こんどの断層によって海水はその断面積に相当する量を持ち上げられるわけですが、その重心がどれくらい上昇するかをみます。隆起したプレートに乗っている海水は隆起直後に同じだけ持ち上げられると見てよいでしょう。 |