90%で印刷  B   不定期便  第39号
  
 不定期便
 39

 空間論

 発行
011年7月7日
発行者
熊野宗治
 
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あなたへ


重力場と空間



まずひとつの物理問題を提出したい。次のようだ。

   


 無重力空間にそれぞれ質量1、2をもつ物体がある。二物体間を2対1に分ける点をQとする。Pはそこからすこし離れた空間にある任意な点である。P点からみて、Qはm、mの重心であるとするのは正しいか否か?


  

重力場と空間       2011.7.2
 われわれはよく「何もない空間」という呼び方をする。ぼくらのずっと先代が、目に見えないものは「無」と考えたとしても無理はない。走れば感じたり、押される強い力を感じたり、肌を快くするうごめきを感じたりしていたが、それは空気という、微粒子の存在であることをやがて知ることになる。無と思っていたものが無ではなくなる。
 重さや大きさを持つ「物質」について自然科学での研究が進み、質量保存の法則やエネルギー保存の法則、そしてそれらの結合や運動や変換に関する研究という、物理学もずい分発達したものである。
 空間そのものの中には重さも容積も時間もない。われわれはそういった空間中に粒子などの「物質」がないことを「何もない空間」と認識しているのが通常であろう。本当に何もないなら寸法もありえず、容積も存在しない。したがって「速さ」も存在しない。数学や幾何学はそんな無の空間の中に仮構を空想し、それが実在しうるかのように考えがちだ。
 しかしながら、注意深く現実の物理を考えるならば、光の速さは、それがあるからには、何もない空間に対する速さではないことにわれわれは気付くべきだった。なにかあるものに対する速さである。空間に満ちている、あるものに対する速さである。そのあるものとは、物質ではないのだ。そうやって我々はそれが重力場であることに気付くのだが、それは米国のアルバート・マイケルソン博士がすでに見出していたものだ。

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