読売新聞9月18日朝刊 から
読売新聞社説 電力維新シリーズ 1
《解散風 安易に「脱原発」》によれば、
《「2030代、原発稼働ゼロを目指す」政府の革新的エネルギー・環境戦略が決まった。だがその内容は多くの矛盾を抱える。問題点を検証する。
「まずは最大限のことをやっていく。すべてはその先の話だ」枝野経産相は15日訪れた青森県でこう述べた。
「2030年代原発ゼロ」は実現が不透明な努力目標だ。核燃料サイクル政策や中断していた原発建設は予定通り行う――。経産省は、政府の戦略を自ら骨抜きにした。野田首相は大飯原発再稼動を決めた6月に「原発を止めたままでは日本の社会は立ち行かない」と明言。
「2030年原発比率15%」を落としどころにしていたが、7月から始まった意見聴取で「原発ゼロ」が優勢になると早くも「玉虫色の決着」を模索し始める。「脱原発」論者として知られる富士通総研の高橋洋氏を内閣府参与に据え、原発に批判的な民間エコノミストらを集め、脱原発を打ち出したドイツの例などを中心に理論武装を重ねた。だが、そこでの議論は、原発ゼロを可能にみせるための厚化粧を施したに過ぎなかった。
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しかし、原発ゼロを支持した人の多くが、その負担の大きさにまだ気づいていない。風力や太陽光発電の普及には38兆円かかる。中身は「丁寧な情報開示で説明する」としか書いてない。20年以上先をにらんだ厚化粧は「近いうち」に完全に剥がれ落ちかねない。》――と書いている。厚化粧とも思われないが、剥がれ落ちない、とわたしは考えている。
ひと月とすこし前にも、同紙経済部次長という人が社説 一筆経上 で
《政府は2030年の電力のうち原子力が占める割合として「0%」「15%」「20〜25%」の選択肢を示している。全国の意見聴取会で発言した約7割は「0%」支持だ。だが、原発をなくした場合、経済にどんな負担がかかるのか、冷静に検討する必要がある。「再生エネの普及と省エネ型社会で乗り切れる」という主張は根拠が示せていない。
経済界は、3つの案について「いずれも再生エネなどの目標があまりにも楽観的だ」(経団連会長)と手厳しい。
そもそも、3つの案は、1%程度の経済成長率が前提で、経済成長を実現すれば電力不足になるという矛盾が浮き彫りになる。国民に意見を聞くのは「国民受け」するかもしれないが、現実離れしたシナリオでいくら議論しても、将来のエネルギー戦略を描くのは難しい。(8月5日朝刊)》――と書いている。
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