C 印刷用は      不定期便  第74号 
  不定期便 74 013年6月6

    物理学の別見 1
     光速の解明 2 ――013.5.22
発行
2013年6月6日
発行者
熊野宗治
 
 前回、誰も否定しようのない学術的な実験を見た。これまでのいろいろな状況証拠からも、混乱した物理学は、きれいな道のほうへ掃き寄せられる。
 
 元来われわれの考えとは異にする研究者の方々に、変化はないだろう。異なったのはわたしたちのほうだ。現代の科学体系に立たれているかたに、いますぐ変えていただく必要はないし、それを求めるのは気の毒である。これからの新しい人たちに待てばよい。

 ただ、新しい考え方が、今の諸問題をいかに多く解決するかを今はまとめてみたい。それらの問題を解決する前に、われわれは場の性質についてひと通り考察しておくのがよいだろう。

 

重力場はどのように分布し影響を与えるか
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天体たちのチュチュ
  質量を持つ物体はそれぞれの物体ごとに、それぞれ自分の周りに重力場を造っている。それら想像されるのは、地球は地球から離れるほど淡くなってゆく重力場、言ってみればマリモのような球状の場を持っているだろう。踊り子が纏うチュチュに喩えても、よいかもしれない。チュチュが踊り子の腰から跳ねだして、踊り子の動きにつれて動き廻るように、地球の重力場も、地球と共に動いてゆく。

    空間に地球が独りぼっちなら、そのチュチュである重力場も、地球の動きの通りに動いているだろう。(光はこのとき地球のチュチュに対して光速cを持つに違いない)
 地球のほかに月という天体があったとしたら? そのときは月も地球と同じように自分のチュチュを持つはずだ。地球のチュチュと月のチュチュが触れ合うとき、どうなるだろうか?
 重力場がチュチュとちがうところは、重力場は重力として作用する向きと大きさ、つまり加速度ベクトルを持つ。また、重力場の運動としてその方向と大きさという運動ベクトルを持つ。さらに、場の強度あるいは濃度とも言うべきスカラー量(場の空間の中で作用する能力――とりあえず「フィールド・ポテンシャル」と呼んでおこう――)がある。

(それらは一つの同じ空間に互いに排除し合わないで共存する。場は物質としての容積を持たないから。)
地球と月は互いに提供しあう重力作用のベクトル量や、場の運動ベクトル量などを、それぞれの強度に応じて合成し、一つの重力場として空間の

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各所に「光の場」を形成しているだろう。

  この形態については、太陽、地球、月という3つの天体がある場合でも同じで、つまるところ、多くの天体たちはそれらに共通な、たった一つの合成ベクトルとしての場を、空間の各所に形成している。これら「天体たち」の代わりに、「質点たち」であってもよいはずである。しかるに、この地球を形成する水や空気や岩石たちがもつ重力場の合成として、また、それらを形成する分子や原子、素粒子たちという無限というべき数の重力場たちの合成として ぼくらが居る地球上の身近な空間に、たった1つのベクトルで表示しうる場を持っている。

こういうのを研究する分野に「連続体力学」という考え方があるようだ。

さてぼくらは、これらの定量化を試みてみよう。想像したことを“物理学”として組み立ててみるわけだ。

重力場の運動速度   5/24
 空間に地球Eがある。地球の質量Mの周りに形成されている重力場は綿菓子のようにMの周りをとり巻き、その密度はMに近いほど濃い。
   マリモと言ったり、チュチュと言ったり、綿菓子と言ったり、不統一で諸君には済まないが、どの表現がぴったりするだろうか。
 Mが動いてゆく場面を生き生きと想起するために、再び、ドガの踊り子が身につけているチュチュが動いてゆく様子をイメージしてみよう。すると、単独の地球で起こることの様子は、踊り子

   の運動速度Xと同じようにチュチュも動いてゆく、ということになろう。
  もしもチュチュに絡まっている物質Pがmなる質量を持っていたせいで、P点はチュチュの濃度に比例した引力を受けるとすれば、その引力は言うまでもなくニュートンの万有引力である。その力は場の濃度に比例し、Pの質量が大きいほど大きく、m×という力になる。その方向はPから踊り子の方に向いている。

濃度はP点までに広がった球面積(r2に比例)に反比例するように薄まるだろう。

近年われわれが気づいた光のエーテルとしての重力場は、上の例で言えば踊り子と共に動いている。そして、場の空間にあるPでの場の運動方向は、引力の向きとは無関係に、踊り子の動きXと同じ方向である。その量を仮にυとしておけば、理論上まだυ=Xであると一概に言えない。
 しかし、チュチュの様子からすれば、チュチュの運動は踊り子の運動と同じであるように思われる。詳細のことは第49号ですでに考察したが、今はこのチュチュつまり質量周りの場の様子を追想してみることにしよう。
 仮にMのつくるPでの場の濃さをGM/2としておこう。実は、これはニュートンの万有引力の加速度の大きさに相当する。(しかし、この引力の加速度は質量に対してのみ有効に働くものであって、その空間に質量のない例えば磁場や電場に運動を起こさせようとする加速度として働くことはない。だからと言って、重力場の空間に質量が存在しなければ無の空間と同じかといえば、何もないわけではなく、何らかの能力を持つ“場”として存在している。その能力の一つに、光を伝えるエーテルとしての働きを持つのであろうとわれわれは気づいた)

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 もしもP点に質量が存在すればPからMへの向きに、この質点に万有引力の加速度として働くことになる。しかし、今考えようとするのは作用する力の向きに関してではなく、場自体が動いているか止まっているかという点だ。チュチュなら、明らかに踊り子に静止している。チュチュの先っぽにアリが一匹這っていて、そのアリがチュチュの上でυの速さで動けば、舞台に対してアリはX+υで動くことができる。喩えの元でいえば、質量Mのつくる場のMからrにある空間で光が速さcで走れば、その空間の速度との合成は宇宙空間に対しX+c という光速になるだろう――ということにわれわれは気づいたことになる。
 だが親愛なる諸君、問題は、舞台に対する踊り子の運動速さは確認できるが、宇宙空間にたった一つある質量Mの運動速度がXであることをいかにして確認できるだろうか?  
 もし宇宙空間に存在するのが質量Mの物体ただ一つであるなら、Mの運動速度X=0つまり重力場はMに静止しているものと考えても、ほとんど問題ないだろう。しかるに、この場合Pでの場の運動速度はゼロとしてよいだろう。そしてこのMが規定している宇宙空間に対して光は光速cを持っている。

さて、MからPまでの距離が極めて遠い場合はどうか? Pでの場の濃度はGM/2≒GM/20と、極めて淡いものになる。そんな場が質量Mの速度と同じVで動いていると見てよいのだろうか? 
 仮に宇宙空間に地球Eと月mの二人ぼっちであるときを例に考える。地球のつくる重力場の中で月が地球からrの距離にあったら、光を伝える重力場はどんな動きをしているだろうか?という問題になる。実際には空間に互いの距離rを保って、地球と月をそっと置いておくことはできない。まもなくそれぞれは互いの万有引力の

   ために 相手に向かって落ち始めるだろうから。
 そこで両者間の距離を保っておくために、相手の方向とは直角の向きに初速υを与え、円運動をさせておくことにしよう。この上で重力場の運動その他を考えることにする。
 左の図で、Eは地球で mは月。それぞれの質量をM,mとする。2者間の間隔がrである。
宇宙空間で地球は静止しており、月は今の瞬間図のようにちょうど正円の公転運動をするような速度υを持っている。Pは両者の重心である。

重力場の運動
 この場合、光を伝える重力場はいかなる運動をしているであろうか。E,P,Q,mの各点を代表点にとって考えてみることにしよう。
 PEmの重心であり、Qは質量Mから及んでいる重力場の濃さと質量mから及んでいる重力場の濃さとが等しい点であるとする。
 重心Pは天秤と同じくM×rGm×r´Gとなるように、相手との距離rを分ける点。QEからの重力場GM/02 mからの重力場Gm/r´02とが等しいであろう。
 すると、例としてM=16,m=4としたときP点はrG : r´G = 1:4、 Q点はr0 r´0= 2:1となる。

A) P点での場の運動    以下は次回に。
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