前に石田氏が「重力場が光の速さとどう関係するのか理解できない」と指摘された。小生はそのことについて理解が得られるまで説明を試みなければならない。以下の説明ではいかがだろうか。
光のエーテルは重力場であるとしてよいか
014/5/1
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わたしは光のエーテル(媒質)は重力場であると見ている。そうと実感できそうな、磁場に見る実際の現象について、のちにお話してみたい。
一方ではわたしは、重力場は波をつくらないと述べているから矛盾があるように受け取られるかもしれない。しかし、それは純粋に重力場に関しては、ということである。重力場が他の種の場に変換(相互作用)するとすれば、波を形成しうると考えている。前にも言ったように、磁荷や電荷に結合した力学的な場が“力場”として存在するなら、重力場がそれらの力場と同化するなどして振動を起こすことは十分に考えられるからである。
いま仮に大木の枝に張られているクモの巣をイメージしてみよう。木の枝に渡されたクモの巣上で動いているクモの速度は木の枝に対する速度である。クモの巣はクモが本来の速さで動ける、クモにとっての静止場である。巣にかかった獲物は巣に対して動けないから、クモが獲物に近づくことは造作もないことだ。
樹木が風に揺れている場合はどうだろうか。
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クモにとって静止する巣は、その揺れている樹木の立つ地面に対してはたしかに動いている。風の強い日などには、地面に対しては自身が思っているよりはるかに速く動いていることだってあるわけだ。だが、クモにとっては、巣という自分の足場に対して、いつもの速さで歩けることが当たり前なのだ。
樹間のクモの巣
磁石から出る波
さて、馬蹄形磁石を叩けば音叉のように振動して、磁石の磁場にも変形が生じるだろう。それは局部的に磁場勾配が変動することにほかならない。磁場勾配の変動は(第23号で見たように)電場を誘起する(ファラデーの法則)。 電場の発生はまた磁場の変動を誘起する(レンツの法則)。こうした相互作用の伝播こそは電磁波にほかならない。
すなわち、馬蹄形磁石のつくる磁場の中を、(ちょうど樹間に張られたネットをゆくクモのように)電磁波は伝わるはずである。
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このことに疑問をさし挟むことはできないだろう。だとするなら、これはこの磁石が動いているときには、その動く磁石のあいだにあって起こる電磁波もまた、磁石と共に動いている、つまり、この電磁波の静止座標は磁石の運動と共にあることを示していると言ってよいだろう。
重力場と力場とを同一視してよいか
次に、この磁石は磁場と結びついた“力場”を併せ持っているようだ。その証拠には、磁性体、例えば鉄片を吸い付け、重力のために机上に密着している鉄片を重力に逆らって引き付け、持ち上げることもできる。
鉄片を引っ張っている重力場に抗して磁石の持つ力場が実際に持ち上げるのだから、これら力学的場は同種の性質を持つ力場であると見てよいであろう。
磁場と結びつく力場の、重力場との大きな違いは、その対象となる物質の違いによって強弱がある、という点にある。重力場はあらゆる物質の“質量” だけに応じた分の力を作用する。磁場や電場に結合する力場は、媒質の誘磁率や誘電率あるいは相手の磁気量や電気量に応じて作用し、相手の質量によらない。しかし、それらによって生じる力場は重力場と同様に、質量に働いて“加速度”を生じさせる。これが力場であるとすることの根拠だ。
磁場や電場が電磁波をつくるらしいことは分かったが、一旦生じた電磁波は発生源である磁荷や電荷からはるかに遠ざかってもなお進み続けるのはなぜか。それは媒質としてどこまでも存在する重力場を選んで相互作用をしながら伝わるからである、と小生は考えざるを得ない。
するとその速さはそこに於ける重力場に対してということになる。そしてその電磁波の速さを知るには、われわれはその重力場運動速度を確定しなければならない。
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つまり静止重力場(光の絶対座標)とは、その空間での重力場運動速度と等しい速度を持つ座標のことである。それはすでに第49号で考慮した。
ある空間における絶対静止座標とは、宇宙に存在するあらゆる質量から及んでいる重力場運動速度に対し静止する座標をもって、(絶対座標と)認められるものである。
親愛なる友人諸君、われわれの上に起こった物理学上重要なこととは、その絶対座標を計算する方法が見つかったことである。それが「光速の法則」なのだ。しかるに諸君、絶対座標とはその空間における絶対座標であって、宇宙全体に対して唯一絶対的に静止しているものではないことを知ったことになる。
たしのギャラリー
写真 輿水 進
拙宅の2階廊下 ガラス壁がパティオを区切る
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<参考資料> ウィキペディアから
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マクスウェル方程式を用いた説明
電場Eと磁束密度Bとの間には、
という関係式が成り立つ。これはマクスウェルの方程式の中の1つであるが、この式のことをファラデーの電磁誘導の法則と呼ぶこともある。
導体が移動せず、磁束密度Bのみが変化する場合を考える。空間内にある面Sを考え、その外周をCとする。上式の両辺をS上で面積分すると、左辺はストークスの定理を用いて、
となる。一方、右辺は、 となる。以上より、先に述べた
が得られる。
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図は発行人による |
ローレンツ力
磁束密度Bの中にある電子の、経路C上の点を位置ベクトルrで表し、 C上の各点が 速度υrで動いているものとするとC上の電子が受けるローレンツ力は、
F(r) = -eυr×(r)
となる。
これは実験の観察から知られたことを表わした素直な式だ。×はυとBの互いに直角な成分同士の積を示す
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