光速の背景 39 次ページ
第2章 疑うべき学説

 

 

 

  

 第2章 疑うべき学説 

疑惑の二大学説、ビッグバンと相対論

 

 


 

 

はじめに 

未来にわたってすばらしい発見へ導かれるはずの途上に、誤りあるいは錯覚の説が権威を持って立ちふさがっているとすれば諸君はどうお考えだろうか? その影が岩のように大きい場合には、諸君、そこから無数の誤った見解が生まれてくるにちがいない。もしもそれが正しくないものであるなら、今すぐ正しておかなければ厄介なことになる。正しいものの先にだけ、正しいものが見えてくるにちがいないのだから。

 

わたしにはどうしても納得のできない二大学説がある。わたしがこの本を書かなければならないと思った直接の動機は、宇宙のビッグバン誕生説および相対性理論という、合点しがたい二つの理論は事実、現実に、現代の科学者たちの思考にきつく結びついていることを見るからである。もしもこの二つが間違っているとすれば瓦解してしまうであろう近代物理学の理論はあまりにも多い。
  相対性理論(以後「相対論」と略称する)はアインシュタインが発案した理論であることをだれ一人として知らない者はないだろう。相対論というものを簡単に言うと、動いているものを別の動いている場所からみたらどう見えるかを論じる座標変換論だ。これに関わる数理物理学の理論は、その歪んだキャンバス(座標)の上に記述される。その特殊相対性理論によれば、光の速さはいかなる等速度運動をしているだれにも常に同じで、その結果、動いている物体はその方向に縮んでいて、時間が遅れ、その質量が増すというものである。それを等速度運動(慣性系)に限らず、円運動や自然落下といった加速度運動をしている座標、つまり加速度系にまで拡大しものが一般相対性理論

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