光速の背景  57 次ページ

第2章 疑うべき学説
これは宇宙のビッグバン説に、真っ向に矛盾する。127億年後に知った、「誕生間もない銀河」だとすれば、ビッグバンによってではなく、その中心から127億光年も遠い場所で誕生したとしなければ辻褄が合わない。つまるところ、宇宙はビッグバンによるどころか、宇宙のどこででも一様に誕生しうることになる。 
     
 アインシュタインは「光は光子である」とする。すると銀河団Aから出た光が127億年の旅をしてf1ff,・・・fの光子群として私たちの望遠鏡まで到達した。現在、銀河団から宇宙の果てまで約10億光年である。
  これが新聞記事に出た内容であろう。光子は
127億年まえに星から出発したのである。ビッグバンが正しいとすれば、aは127億年前にあったであろう星たちの位置。光子はどのような道筋を経てきたであろうか?
 宇宙のビッグバン説が正しいとすると、おかしいことがもう一つある。地球が、誕生して50億年という若い星で、ビッグバンの中心から仮に今や50億光年外れたところにあるととしよう。これを加えると、この銀河団は宇宙の直径の外にあることになる。もっとも、地球のビッグバンの中心からの外れがこの銀河団と反対側であった、とすれば合わぬこともないが、それならば、「宇宙誕生10億年後の(今では)古い星である」とも、言えなくなる。われわれにとって、127億光年もの遠い星が見つかったということもさることながら、こんな簡単な矛盾に学者が気付かないことに驚かされる。宇宙膨張説の等質膨張と、それによってドプラー効果が生じるとすることの矛盾については、すでにK氏あて書簡に示したとおりである。

. 物理学を妨げるもの
 近代物理学に重大な影響を与えている誤った2つの理論について検証した。これらがわたしたちの疑う通り、誤りであるとすれば、物理学にとってひどく有害であることは言を俟たないであろう。なぜこのような重要問題であるにもかかわらず、放置されているのだろうか。アルベルト・オリヴェリオも『論理的思考の技術』のなかで次のように言っている。
 《ところが、私たちにとってなじみのない知識であれば、その論拠がわかりにくい上、もし権威ある原則に基づいているなら、それに抵抗することもできません。いわゆる定評のある原則(ふつう権威者が打ち立てた理論など)は、たとえその論拠が弱いものであっても、結論を正当化するためによく利用されるのです》
  実に、現代の素粒子論でさえ、理論の正統性を印象づけるべく、「宇宙ビッグバン理論」や「相対性理論」が利用されている。しかし、宇宙が等質膨張しているのでなく、また、光速がどの座標でも一定というわけではなく相対速度を持っているとすれば、ビッグバン理論も相対論も、その論拠が根底から覆っていることになる。それでも、その基盤の上に築かれた諸理論は正しいと言えるだろうか? 『論理的思考の技術』でオリヴェリオは 
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