90%で印刷  B   不定期便  第39号
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ことになりがちだ。重力場の構造がどういう経過をたどってそうなったのか、その法則もまた知らず、曖昧なままである。いまわれわれが行っている手工芸的な、こういう学問分野は大学にはないようだ。したがって、こういう研究をしている研究室は大学には存在しないとわたしは見ている。やるとすれば学校物理だろうが、文部科学省の教育指針にそういうカリキュラムはなく、学校の各先生の独自な授業に任せるしかないだろう。しかし、学校の各先生は勝手な内容を教えるわけにはゆかず、そうなると、重力がどうなるかを考える科学者はまるで存在しないことになる。だれがこれを行ったらよいのか? 行うべき者は誰か? 思索するのは誰か?

 それはさておいて、先へ進めようと思う。質量に伴う重力場を視覚的なイメージで考えると、次のようであろうとわたしは考える。

            図3        3950-15

水平に張ってあるテント幕があると想像して、そこに質量の塊が置かれるとする。その位置で上から丸棒の先で押す。すると内側ほど窪んで渦のような凹みができる。質量が3点あるとすれば、3本の棒でその3箇所を押すことになる。

  

仮にそこへパチンコ球を投げ出すと、くるくる回ってそのいずれかの窪みに落ち込むはずだ。幕を下から見ると、3箇所が鋭く尖っている。それを3図のようにイメージする。
 
等高線はつまり3図のようになるだろう。山岳の地形模型のようなもので、各質点の周りに同心円状の等高線があって、近くに別の山頂があればそれも取り巻くような等高線となって合体し、その2山からさらに離れた第三の山頂も、どのみちそれとも合体し3山を取り巻く等高線の同心円となって空間へ広がってゆくだろう。等高線と垂直な方向、つまり、地形の傾斜方向は放射状を成して、ついには等方的に広がるはずだ。3山の、いや3質量のつくる重力の中心、つまり3質量の重心はどこにあるだろうか? 図のGあたりがそれだろう。ここでは馬の鞍状に、局部的には水平になっている。つまり、どの方向へも勾配がなく、ここでは重力さえ働いていない。そういう場所が本例の場合少なくとも2ヶ所ある。

 各質点はもちろん、ニュートンの万有引力の法則のとおりに、質量の存在する近傍では同心円状に等しい重力加速度の並び(等高線)があり、等方性に近い放射状の力線として重力場を持つだろう。3質量のそれぞれがそうである。それら同士が比較的接近して存在するとき、同心円状である各質量の重力場のベクトル和は、結果的にこのモデルでの幕のような歪んだ重力場となって形成されるだろう。その和はただ一つの場として存在するから、3山の中間部では引力の中心がどこにあるのか、必ずしもはっきりしない。1つの山へ近づく場合にだけ、その山の頂上(質量の中心付近)に引力加速度の中心があることが明らかとなるだろう。

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