前回は電子とその電場の関係、その電場の動きがひき起こす磁場の誕生について考えた。電流が周りに円形磁場を生じるという一般的な認識から一歩踏み込んで、空間に及んでいる場同士がある関係を持って作用しあうものだという考えに及んだ。 電流、つまり物質の運動という概念から解き放たれて、場の相互作用として理解することを得られたと思う。
「質量をなすものは重力場そのものであり、われわれは重力場の中心を質量として観測しているにすぎない」(第57号)
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と不定期便第57号では結論した。
結論を急がないほうがよいことはよく承知している。しかし、これから述べようとすることは、それを裏づけ、補強してくれるだろう。われわれはその証拠として、似たような現象を示すことができる。身近な実例からこれを考えてみようと思う。
それは電場や磁場の例で、誰しも学校の初歩的な実験で体験されたことがあるであろう。両極である+極(N極)と−極(S極)を互いに近くに置けば+から−へ電場(磁場)が生じるらしいことを、電極をつけたアルミ箔に等電位線を描いたり、極を覆った紙面に砂鉄をまいたりして、実際にそれらしく並ぶことによって確かめることができた。
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図7
これらの例から、場の極となる物体(物質)が存在するのをみる。これら極となる物質なしに磁場を構成することは可能であろうか? つまり、物質なしで場がつくれないだろうか?
もし磁荷という極が場をつくるのだということが確かであるとすれば、場だけを生成しえたなら、極と場は同一物であることを示した
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と言ってよいだろう。
わたしは重力場が質量なしでできることを実験で確かめることが今はできない。しかし、いつかは学問の進歩によって、それは可能になるのではないかと想像している。
これから、“空間に磁極をつくることができる”ことを確かめようと思う。 馬蹄形をした市販の磁石は容易に入手できるが、図のような馬蹄形をした鉄心に導線を巻いてコイルをつくり、両端を電池につないで電流を流せば、鉄心の端部を強力に磁化することができる。
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