R  不定期便  第95
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物質としてその何千倍もの天体たちすなわち質量があっても当たり前だと思っている。

 われわれの眼は闇では良く見えないが、蛍の飛ぶのを見て世界中に生物は蛍の数匹しかいないと思う者はいまい。地上で一筋の光が目に届くまでに、その光が横切った0.0224m3ぽっきりのあいだにも6×1023個もの分子たちが犇めく中を突き抜けてきたのだということを知らぬ人も少ないだろう。われわれには無の空間としか見えないが、空気でさえ、わずか2.7ccの空気の中に分子が1019(1000粒の1億倍の1億倍)という高密度なのだ。眼でも望遠鏡でも、見えないから気づかなかったに過ぎない。
 
宇宙背景放射     014/4/10

 
 黒体(black body)とは何かというと、あらゆる光を100パーセント吸収してしまう物質をいう。したがって、黒体には反射する光はなく常温では真っ黒に見える。もっとも、黒体は他から受け取った熱あるいは自身の持つ熱を赤外線として二次輻射している
 ビッグバンの残光だとされる黒体放射(宇宙マイクロ波背景放射と呼ばれる)もまた、宇宙最古の化石として存在する、という。これが見つかればビッグバンの何よりの証拠と考えられていた。
 それがペンジャスとウィルソンによって、最初は正体不明の雑音として1965年に発見され、「宇宙マイクロ波背景輻射」と呼ばれた。
                
 ウィキペディアによれば、
 ――宇宙マイクロ波背景放射(cosmic microwave background (radiation); CMBCMBR)とは、天球上の全方向からほぼ等方的

   に観測されるマイクロ波である。そのスペクトルは2.725Kの黒体放射に極めてよく一致している。
 単に背景放射 (cosmic background radiation; CBR)マイクロ波背景放射 (microwave background radiation; MBR) とも言う。黒体放射温度から3K背景放射とも言う。  

CMBの放射は、ビッグバン理論について現在得られる最も良い証拠であると考えられている。1965年に CMBが発見されると、定常宇宙論など、ビッグバン理論に対立する説への興味は失われていった。標準的な宇宙論によると、CMBは宇宙の温度が下がって電子と陽子が結合して水素原子を生成し、宇宙が放射に対して透明になった時代のスナップショットであると考えられる。これはビッグバンの約40万年後で、この時期を「宇宙の晴れ上がり」などと呼ぶ。この頃の宇宙の温度は約3,000Kであった。この時以来、輻射の温度は宇宙膨張によって約1/1,100にまで下がったことになる。宇宙が膨張するに従って輻射は冷える。この背景放射がビッグバンの証拠とされる。

CMBが生まれた後、いくつかの重要な事件が起こった。CMBが放射された時期に中性水素原子が作られたが、銀河の観測から、銀河間物質の大部分は電離していることが明らかになっている(すなわち、遠くの銀河のスペクトルに中性水素原子による吸収線がほとんど見られない)。このことは、宇宙の物質が再び水素イオンに電離した再電離の時代があったことを示唆している。

CMBが放射された後、最初の恒星が観測されるまでの間、観測可能な天体が存在しないことから、宇宙論研究者はこの時代をユーモア混じりに暗黒時代(dark age)と呼ぶ。――
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