光速の背景  33 次ページ

 第1章 輝かしい発見
計力学的結果)に相当する古典的な波動とみた場合の項との和として得られる」ことを証明している。
 光量子仮説への当時の批判例としては、オランダのローレンツが1910年、光干渉のみられた実験結果からして「もし光量子が存在するとしたら、1個の光量子の進行方向の広がりが少なくとも1メートルはあることになる。また望遠鏡の口径を増すことによって解像力がよくなるということは、光量子の広がりが進行方向と垂直な方向にも同程度でなければならない。そうだとしたら人はどのようにして物を見ることができるのか、目はそのような大きな光量子の一部しか受け取ることができないはずなのに、光量子仮説によれば、網膜が作用を受けるためには光量子全体が必要となる」と批判している。

光はなぜ電子を放出させるか
 光電効果について、筆者こう考えている。光は金属面の非常に浅い範囲なら入り込むであろう。光(電磁波)に含まれるある幸運な瞬間の磁場によって図(a)のように、金属原子の電子が軌道から膨らむような力(ローレンツ力)を受け、同時に光の電場によって電子の回転方向へ力を受けたとする。
 電子がそれから半周したところで光の磁場も反転していて、電子軌道を縮ませる方向に作用する(図(b))。光の電場もまた反転しているが、電子も半周しており、さっきとは逆向きの速度をもっている。つまりまたも幸運なことに、電子のやはり回転の向きに加速を受ける。こうして、元々熱せられて活性化していた電子が2~3回転するうちに、原子の共鳴軌道の電子は、原子核の引力を振り切って原子からとび出すことがある。周囲は電子と同種のマイナス電荷をもつ自由電子たちで満ちており、彼らからの反発を受け、反発作用の少ない金属外面へとび出すのである。飛び出した電子は光電管の陽極側へ引きつけられてゆく。熱せられて動き回っている自由電子たちのひとつは、電子の飛び去った原子の空席へすばやく入り込む(落ち込む)。
 こういったことが光電効果であろうと考えている。電子に比べてはるかに質量が小さいはずの光子が電子を叩きだすという説明は違うのではないか。そうではなく、電磁波に共鳴(さきほどの〝幸運〟に相当)する、つまり、光の振動数と電子の回転数が同じか整数倍であることによって勢いを得て原子の外電子が飛び出す、というのが実際のメカニズムであろうと考えてまちが
 

磁場
;紙面の表てから裏へ
電子軌道を膨らませる 

電場マイナス
マイナス電荷である電子を回転方向へ押して加速

磁場裏から表てへ
電子軌道を縮ませる 

電場プラス
電子を回転方向へ引きつけて加速

いはないのではないだろうか。
 アインシュタインの光子説では実際上、なぜ光子がhνの倍数ごとによく電子を叩きだすのか、また彼の光子(光)は陰極板(金属板)へ向けて照射されているのに、なぜ電子が金属の外面へ向かって叩き出されるのか、そのメカニズム説明にも不条理なものを感じる。


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