光速の背景 次ページ

 第1章 輝かしい発見
数にかたどって存在すると考え、彼らはその数論をあらゆる現象に応用し、天文学の発展に貢献を残した。紀元5世紀の中ごろから大きな変化、つまり多くの原理を融合しようとし、生理学、医学、数学、天文学などの進歩が生まれた、これを背景として、ソフィストの哲学が活躍し始める。その哲学的考察の中心は「人間」であった。
 アリストテレス(紀元前384~ 322)は、トラキアのスタゲイラに生まれた。彼はリュケイオンという学校を開いたが、その逍遥歩廊(ペリバドス)を逍遥しながら議論を交わしたことから、ペリバドス派と称される。アリストテレスの哲学体系で重要なのは論理学、自然哲学、形而上学、実践哲学の4つである。自然哲学においては、自然は目的に従って活動する一つの団体であると考えている。それは以下のようである。
 一切の実体は神を究極の目的としつつ自分の形を実現してゆくものである。目的の実現は常に運動によって成就される。運動には三種あり、場所の変動、性質の変化、分量の増減である。世界は空間的には限りがあり、形は円形である。運動は始めなく、終わり無いものであると同じく、世界は時間的に限りのないものである。彼の形而上学は存在としての存在を対象とする第一の哲学であって、存在と生成の根本形式の学問である。概念をもって思惟される事物の不変不易の本質が実体である。実体は個物に内在しているものであって、個の外に存在するものではない、とした。




















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