光速の背景  131
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第5章 未来へなにを遺すのか
きい勾配をもっているとすれば、2個の幻子の結合はきわめて安定にして不変に近いものとなろう。このようなメカニズムを原子の形づくる物質の格子も持っているものだとすれば、いくらか物性――硬さ(位置関係の強固さ)、弾力(反転勾配)、引っ張り・圧縮耐力の形成(ファン・デル・ワールス幅)――の謎にも迫れるであろう。そのゼロ点は層の数だけある。
 物質はいかにして結合し、分裂するのか? A図で、3つの点は幻子F 、F 、F の層の中心点である。幻子には一次、二次、・・・の力層(場の層)がある! 最も安定な結合は正四面体(正三角錐)であろう。P 、P 、P 、P4 は結合域である。B図でA-B、B-C、C-D、D-Aは強く結合するが、A-C、B-Dは反発し合っているかもしれない。あるいはその逆であるかもしれない。こうして素粒子の最も小さい単位を構成するのであろう。結合域では強く結合しようとする場が働き、反発域では強く分裂しようとする場が働いている。こうして4つの幻子の組は安定している。そこへ高エネルギーを持つ粒子が飛び込んだとすれば、どうなるだろうか。近接力である結合域は振り切られ、到達域の大きい反発層が優位に立って、原子核分裂のように一挙に分裂すると想像することもできる。
 これ以上の想像をわたしが広げることは止そう。多くの知恵が可能性を探ってくれるほうがよい。なぜ物は形を維持できるのか? 以上はわたしなりの、さしあたっての試論である。謎は未来にわたって解明されてゆくだろうと期待している。


  不正確な着想

数学と自然現象
 数学で言う  = χ2 のグラフは一般に放物線と呼ばれている。 図のように横へ(χ方向へ)1行ったとき、2行ったとき、3行ったときに応じて、上へ(y方向へ)1、2、3、…という数列をとるとき、また、これらのあいだにも実数値をすきまなく並べたものは、物を放り投げたときの飛翔軌跡に似ている。ただし実際の軌跡は地面のほうへ向かうので、この図を上下に反転した図となるのだが。
  しかし、まだこれは数学であって、物の飛翔運動を表わしていない。今の瞬間あるいはある瞬間に、それはどこにあって、どのような速度あるいは加速度をもち、それ自体どのような隠れた性質を持っているか?を表わしていない。実際には、物体は常に、その瞬間瞬間での一点としか見えない。
 
この数学ではχ軸のひと目盛動くときの上昇の仕方が、まえの目盛に比べ同じ幅の次の目盛の上昇が大きくなってゆく。つまりこの図形の接線の傾き(変化率)が増加してゆく(変化率の増加)。 しかし、この図形では実際のある時刻に、その一点のあるべき位置、つまり時刻と位置との関係は確定されない。自然現象としては架空の式である。
 
 
 実際の落体はどのような位置をとるであろうか? ガリレオは最初、数学と同じく、落下速度は落下距離に従って速くなると考えた。しかし、まもなく彼は、落下速度は距離に比例するのではなく、時間に比例することに気づく。距離χでなく、tと考え直してυ=2αtつまりy=αtであることに気づいたのだ。増加率の比例定数は2αになる。しかし、まだ数            
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