光速の背景 次ページ

第6章 なにが学問を遅らせるか
ている場所から見て、動くものの時間はβの率で短く、運動中の長さはβの率で縮むと結論する。
 運動中の二点間距離が、常識では光の相対速度c′に時間をかけc’tとなるべきところ、相対論では光速は不変で、その代わり時間が縮みct′であるとしている。結果的に値は常識と一致し、一見誤りのないない理論であるかのようにつじつまが合わせてある。

    図1
        ↓図2 

万事この調子で決めつけてよいとすれば、物体の質量は物体の運動に従って1/βに増すということになる。
 そんな特殊相対論の要点をまとめると、以下のようだ。まず大前提として

 ①光速cは不変であり
そこから
 ②運動している物は時間がβの割で遅く進み
 ③寸法は運動方向にβの割で縮み
 ④運動している物体の質量は1/βの割合で重くなる。
 υ=cでβ=0となり、1/βは無限大となる。
 ⑤したがって、物体の運動は光速を超えることができない。

★よくアインシュタインのそばにエネルギーの式E=mcが並んでいるのを見かけるが、この式は特殊相対論のどこからも出てこない。

            ――相対論――

 相対論では光速不変を前提に
往き c t+υt    ……④
t´
帰り ( c t-υt)    ……⑤
t´

だとする。両式を乗じてみると
  (c t+υt)( c t-υt)t´2 = c2
これは

(t´)2

(c t)2-(υt)2
c 2

となって、時間t´は t′=t= βt…⑥ と短縮する。したがってυで走行中のアーム長さはc t´= cβtつまり静止長さL= ctに対してβの率で縮んでいる、と結論する。

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