光速の背景  145
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第6章 なにが学問を遅らせるか
附属するすべての惑星らから及ぶ重力場の移動速度のベクトル合成(第4章P・92)によって与えられているはずである。2011519日、その座標の求め方をわたしは論文として完成し、日本物理学会へ提出しようとしたが、“相対論は正しい”として拒絶された現状にある。

宇宙での相対速度検出
 光の相対速度検出を宇宙空間で行うための観測器はマイケルソン干渉計でよく、なるべくは光路部を筒で覆わず、線材による組み立てるのがよいと思う。万有引力常数Gはきわめて小さく、物体による重力場は微小なものであるから、筒によって構成したとしても静止座標を太陽重力場とすることに大過はないと思われるが、より完璧を期すためである。
 実験自体は易しいものであるが、宇宙への打ち上げ費用の点で、なかなか実施に至らないだろう。実験への積極性がどうか?ということもある。相対論と、これに基づく各研究に与える影響が大きい。関係著書は凋落し、講義内容の見直しを迫られるかもしれない。研究経過の書き直しや実験のやり直しなど、大きな被害が予想される相対速度を検出することなど、そもそも歓迎する気にならないだろう。教育方針の変換という作業も必要になる。そうなったときの教授や研究者による協力は消極的であり、むしろ逆圧力がかかるのではないか。

なぜ見直しに千年かかるとわたしは考えるか
学者の無言(沈黙)
 暗黙の密約すなわち沈黙時間の経過という冷却時間を置けばあのニュースも忘れられ、そのころまたアインシュタイン記念日での相対論書籍の大増刷があり、より立派で分厚い書物が出版されるだろう。
学界に新説の受け皿がない
 例えば論文『光速の背景』を発表しようにも、査読されない。どだい、査読者がいない。査読されるのは、後からあとから上へ積み上げるものに限られる。したがって後戻りができず、千年はおろか、地球の誕生からやり直すほかないのかもしれない。
物理学は硬骨化して行詰る
 物理学における現在の査読制度では新陳代謝ができず、体系を組み直すことができない。進化の能力を持っていない。学界を維持するために必要とする査読制度そのものが、学問の進展を阻んでいる。いずれ硬直化して行詰る宿命であろう。
 眼を転じてみると、技術界には査読のような旧態の制度がなく、いかなる工夫にも自由があって、技術は実践が成功すればそれでよい。技術は改良によって進化が可能であり、進化の能力を持っている。学界に縛られないなら、物理学も発展の自由をもっているはずだ。
商業者と学者は利益が一致する
 メディアは依然売上増を、天才アインシュタインをマテリアルとして、相対論を担ぎ出すことで目指そうとするだろう。利益主義経済はこの貴重な商材を捨てがたい。学者は自己の利益に一致するこれらのことに協調する。行政者が行革を進めないのと同様、自己の首を絞めることをあえてしようとはしないに違いない。  こうして、――千年後に起こるかは知らず――いよいよどうにもならなくなったころに偉人が現れ、大革命が行われる。そんな可能性を期待するほかなさそうだ。わたしの著書が出てからもう3年になる。ところが、正式に論文を出そうとしたら、日本物理学会は迅速に拒絶した。
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