ここで注意すべきことは、座標の原点の代りに光線の原点として他のどのような点をとることもでき、その場合に得られる方程式は、したがってχ′、y、zのすべての値に対して成り立つことである。
同じ議論をY軸およびZ軸について当てはめてみると
………………3‐6
を得る。ただし定常系から見ると、光は常にこれらの軸に沿って速度で伝播するということを考慮しなければならない。
さてτは1次の関数であるから、これらの方程式から次の式が得られる:
………………3‐7
ここでaは、いまのところ未知関数φ(υ)であり、簡単のために、t=0のときk系の原点においてτ=0と仮定しよう。
このような結果を用いると、光は運動系において測っても速度cで伝播するということを方程式で表わすことによって、容易にξ、η、ζという量を決定することができる。(このことは、相対性原理による光速度不変の原理の要求に従うものである)。ξの増加する方向に時間τ=0で放出された光線に対して
ξ=cτ
または
………………3‐8
が成り立つ。しかし、この光線は定常系で測ると、k系の出発点に対して、速度c ‐υで動いている。その結果
………………3‐9
を得る。もし、このtの値をξに対する方程式に代入すると
………………3‐10
を得る。同じようにして、光線が他の二つの軸に沿って運動する場合に、もし
,
ならば
………………3‐11
が成り立つ。したがって
………………以上3‐12
を得る。χ′に対してその値をおきかえると
………………以上3‐13
ここで
………………3‐14
であり、φは、いまのところυの未知の関数である。もし運動系の最初の位置とτの原点について何か特別の仮定をしないかぎり、加算的な定数をこれらの方程式の各右辺に付け加えておくべきである。
さて運動系から見て、どのような光線も速度cで伝播するということを証明しなければならない。もちろん、すでに示したように、定常系では光速度がcだということを前提とした場合のことである。なぜならば、われわれはまだ光速度の不変性の原理が相対性原理と両立するということの証明を行っていないからである。
定常系と運動系が共有するとき、t=τ=0
において原点から球面波が放出されて、K系において速度cで伝播するものとしよう。この波に付着した1点を(χ,y,z)とすると
2χ+2y+2z=2c2t ………………3‐15
が成り立つ。
この方程式を、先に示した変換の方程式の助けをかりて変換すると、簡単な計算の結果
2ξ+2η+2ζ=2c2t ………………3‐16
を得る。したがって、この波は運動系から見ても光速度cで伝播する球面波となる。この結果、われわれの二つの根本原理は両立することが分る。
ここで使った変換の方程式のなかにはυの未知関数φが含まれているので、次にその形を決めることにしよう。(中略、概略はX軸上で−(マイナス)の運動をする第三の座標系K(′)を考え、上述の変換の方程式を2回使い、K(′)はKに対して静止していることからφ(υ)=φ( ‐ υ)を、それからφ(υ)=1が得られるとしている。)
その結果、すでに見つけた変換の方程式は次の形をとる。
τ=β(t ‐ υχ/2c)
ξ=β(χ ‐ υt)
η=y
ζ=z ………………以上3‐17
ここで
………………3‐14
である。 続き 本文に対する批評
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